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<矢島里佳の新聞clip6.27号>6次産業化で大手企業が担う意味

「和える」も事業を考える上で、三方良しを大切にしている
 連載中の「和える」の矢島里佳代表の新聞clip

 1週間の日刊工業新聞の記事の中から3本、気になった記事をセレクト。新聞ならではのセレンディピティー(何かを発見する能力、偶然をきっかけにしたひらめき)の楽しさを伝えて頂きます。

 みなさん、こんにちは。矢島里佳です。
 ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。

 今週、選んだのはこの3本です。
 ●楽しい体験を光刺激で呼び覚ます(理研、記憶操作でうつ改善=6月18日付)
●新型学童保育を大阪に開設(「小1の壁」クリアへ=6月19日付)
●「地産全笑」へ地域の力(キリンビバレッジ、“農産物で三方良し”=6月24日付)
 日本全国で6次産業化の流れが加速する中、出口を持った大手がそこを担うのはとても意味があると思います。というのも、6次産業化向けに交付された補助金で機械を購入し、農産物を加工したものの、出口がなく収入につながらないという現象が全国で起こっているからです。もちろん、農家のみならず、大手も他者との差別化に。

 また、買い手も今までに出会えなかったような新たな野菜に出会える。大手も、農家も、買い手も良し。良い三方良しの実現に期待。和えるも事業を考える上で、三方良しを大切にしています。
 ※矢島さんは22日開催された日本政策投資銀行が主催する第4回女性新ビジネスプランコンペティションでグランプリの女性起業大賞に選ばれました。
  http://newswitch.jp/p/1085
 *地産地消・進む現地調達、日本各地の野菜など飲料に
 日本の各地にある、まだあまり知られていないおいしい農産物を、飲料商品の形で全国へ紹介したい―。キリンビバレッジは2015年度の新たな取り組みとして、地産地消事業「おいしく地産全笑。プロジェクト」をスタートさせた。産地を指定した飲料開発の形態をさらに発展させ、製造・マーケティングなどでも地域の力を最大限活用し、近江商人の“三方良し”の関係を目指していく方針だ。
 
 地産全笑プロジェクトの商品には、すべてスマイルマークに似た統一マークを付ける。第1弾商品は九州・沖縄地区からで、7月7日に野菜ジュースの「世界一の九州・沖縄をつくろう。野菜100」、野菜・果実飲料「同 野菜と果物」の2品を発売する。ともに165グラムスチール缶入り、消費税抜き価格150円で、地元で収穫した野菜や果物原料を100%用い、砂糖・香料は使わない。九州・沖縄商品を皮切りに今後、東北や瀬戸内など全国他地域でも順次商品開発する計画だ。

 九州・沖縄商品の「野菜と果物」の場合、福岡県産のナシ、佐賀県産のウンシュウミカン、大分県産のカボス、沖縄県産のシークワーサーのように、各県産の農産物を一つ以上、原料に用いる。宮崎県産の平兵衛酢は「へべす」と読み、外観はカボスに似た日向市特産のかんきつ類で地元では焼酎やそうめん、刺し身の薬味として使用され、最近はカクテルにも合うと注目されている。野菜100でも熊本県産の大麦若葉など、珍しい農産物を用いている。

 「今回の商品開発では九州農政局から産地を紹介してもらって、各県の畑を訪問した。九州は食の宝庫で、いろいろな農産物がある。消費者に『へえ、こんな農産物があったの』と、まず知ってもらうことが大事」。佐藤章社長はこう言って、プロジェクトが地域との共同の取り組みであることを強調する。商品開発ではキリンビバの担当者に加えて生産農家や農業法人、特産物を紹介した自治体、行政団体などが最初から参画し、これこれの農産物でどんな商品をつくったら良いか、互いに意見を出し合う。

 地産全笑プロジェクトには地域経済に貢献すると同時に、収入が上がらない農家の経営に寄与するもう一つの効用がある。スーパーに農産物を出荷する場合、形や規格寸法、色合いなどで厳しく選別され、生産現場では規格外野菜など余剰農産物が大量に残る場合がほとんどだ。飲料ならこうした余剰野菜や果実も有効に利用することができ、農家の安定収入につながる。「自分のつくった野菜が何に使われているかが一目でわかる。農家のモチベーションも上がる」。山田精二マーケティング部長は語る。

 地域が向き合っている課題や、原料となる農産物に合わせ、消費者が好みそうな飲料を開発。仮に少量しか生産できないものでも商品に合わせた最適な販売チャンネルで、地域のおいしさを提供していく考えだ。販売チャンネルはスーパー、コンビニエンスストアのほか、自動販売機、会員制オンラインショップも有効利用する。容器もペットボトルや瓶まで、さまざまに展開する。

 キリングループは福島県産の果実を使用した「氷結 和梨」、全国9工場限定の「一番搾りビール」など、地産商品の開発に意欲的だ。キリンビバの全笑プロジェクトで一層、加速する。
矢島里佳
矢島里佳 Yajima Rika 和える 代表
国民病になりつつある、うつ病。 症状の程度はあるにせよ、私の周りにもいらっしゃいます。うつ病になると、働くのが難しいのが日本社会の現状。この研究は注目ですね。けれども、根本的にはうつ病になってしまう働き方を強いていることに問題があるので、根本的解決には、やはり働き方や社会構造の変革が必要だと感じています。 新型学童保育について。共働きだけれど、習い事をさせたいという要望に応えた新型学童。労働人口が減っていく日本社会において、このスタイルは労働力の確保・女性社会進出を助け、ニーズが増していくと感じます。

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