モノづくりからみたW杯対戦国【ポーランド編】
車関連の進出目立つ
2018年のサッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会の1次リーグ組み合わせ抽選で、日本はコロンビア、セネガル、ポーランドと同組のH組となった(国名は対戦順)。2008年1月以降の記事検索が可能な日刊工業新聞電子版で対戦3カ国の国名を入れて検索したところ、コロンビア321件、セネガル30件、ポーランド534件となり、自動車関連を中心に日系企業の進出が進む東欧のポーランドが首位となった。どんな企業が対戦国に関わっているのか、詳しくは日刊工業新聞電子版をご覧いただきたいのですが、このニュースイッチの場を借りて各国ごとに最近の主要記事を紹介します。第3回は最終戦で対戦するポーランド。
豊電子工業(愛知県刈谷市、盛田高史社長)は、自動車部品の自動生産システムの販売・保守子会社をポーランド・ヴロツワフ市に11月をめどに設立する。従業員10人で2018年3月にも本格稼働し、鋳造工程を中心に関連設備からロボット、周辺装置、制御系を含む一貫生産ラインを一括受注する「ラインビルダー」を目指す。海外拠点は6カ所目。
新会社の資本金は未定だが豊電子が全額出資する予定。工場を兼ねる本社社屋の場所を選定中。設備保全を主管する日本人従業員2人が駐在し、営業担当や保守見習いの現地従業員8人を置く。
ヴロツワフ市は自動車や化学などの産業が集積する工業都市。欧州自動車メーカーが工場を置き、エンジンや駆動系部品を生産するトヨタ自動車のポーランド工場も近い。豊電子のロボット調達先のファナックが拠点を持ち、技術支援が受けやすい点も評価した。
豊電子はこれまで、欧州での営業・設備保守を日本から対応していた。今後はポーランドを拠点に欧州全域での顧客対応を強化する。ラインの一括受注では、一部の設備の現地調達や将来のポーランドでの自社生産も視野に入れ、新会社で現地企業との関係強化も図る。
欧州の自動車業界では、部品の自動一貫生産ラインをメーカー1社に一括で発注する設備調達手法が増えている。豊電子はロボットを活用した鋳造や機械加工などの自動化システム、制御システムなどを主力とし、17年12月期の売上高見込みは140億円。欧州進出でラインビルダーの実績をつかみ、日本を含む他地域での提案力向上にもつなげる考え。
日本ガイシは11日、NOx(窒素酸化物)センサー(写真)の年間生産能力を現在の1800万本から2020年3月期に2500万本に拡大すると発表した。石川県能美市のセラミックス素子工場とポーランドの組立工場に設備を追加する。投資額は計140億円。排ガス規制強化による世界の需要増に対応する。
同社はNOxセンサー首位。子会社NGKセラミックデバイス(愛知県小牧市)の本社工場と石川工場で心臓部のセラミックス素子を生産。日本ガイシ名古屋事業所(名古屋市瑞穂区)とポーランド子会社NGKセラミックスポーランドの第1工場(グリヴィツェ市)で組み立てている。
石川工場は110億円をかけ19年1月に、ポーランド第1工場は30億円をかけ19年10月に増設分を稼働する。石川工場は4月に稼働したばかり。需要が予想を上回り、さらに増強する。
サンデン・オートモーティブクライメイトシステム(サンデンAS、東京都千代田区、近藤唯志社長)は、欧州で開発した商用車用空調システムを7月からポーランドで生産する。同社が欧州で空調システムを開発したのは初めて。ダフトラック(オランダ)向けに納める。今後は他の欧州商用車メーカーにも拡販を図る。
開発した空調システムは、熱交換器と風を送り出すブロワーからなる空調室内ユニット(HVAC)と、操作用デバイスや空調制御用コンピューターからなるコントロールユニット(CCU)で構成。センサーを駆使して、少ないエネルギーで車内の設定温度に到達させる空調制御方式を採用。さらに、暖房運転時に必要なエンジンの廃熱も熱交換器の形状などを改良することで効率よく使えるようにしたほか、ユニット自体も小型軽量化。搭載する車種の燃費向上に寄与する。
「サンデン・インターナショナル・ヨーロッパ」のドイツ支店(バート・ナウハイム市)のテクニカルセンターで開発し、「サンデン・マニュファクチュアリング・ポーランド」(ポルコビツェ市)で生産する。今夏発売予定のダフ製の大型トラック「CF」と「XF」に搭載される。ダフの新型車は現行車種より7%燃費を向上しており、「空調システムも貢献している」(サンデンAS担当者)とする。
サンデンASは2015年に日本で開発した空調システムの欧州生産を開始。スウェーデンの商用車メーカーであるスカニアに納入している。欧州の他メーカーへ提案を続けるうち現地での開発を要望されたため、「スピード、レスポンスともに速くするため、欧州での開発を決めた」(同)。現地で開発生産したシステムは今後、他の欧州メーカーに訴求する。また、欧州以外でも現地開発体制を整えていく考え。
豊電子工業
豊電子工業(愛知県刈谷市、盛田高史社長)は、自動車部品の自動生産システムの販売・保守子会社をポーランド・ヴロツワフ市に11月をめどに設立する。従業員10人で2018年3月にも本格稼働し、鋳造工程を中心に関連設備からロボット、周辺装置、制御系を含む一貫生産ラインを一括受注する「ラインビルダー」を目指す。海外拠点は6カ所目。
新会社の資本金は未定だが豊電子が全額出資する予定。工場を兼ねる本社社屋の場所を選定中。設備保全を主管する日本人従業員2人が駐在し、営業担当や保守見習いの現地従業員8人を置く。
ヴロツワフ市は自動車や化学などの産業が集積する工業都市。欧州自動車メーカーが工場を置き、エンジンや駆動系部品を生産するトヨタ自動車のポーランド工場も近い。豊電子のロボット調達先のファナックが拠点を持ち、技術支援が受けやすい点も評価した。
豊電子はこれまで、欧州での営業・設備保守を日本から対応していた。今後はポーランドを拠点に欧州全域での顧客対応を強化する。ラインの一括受注では、一部の設備の現地調達や将来のポーランドでの自社生産も視野に入れ、新会社で現地企業との関係強化も図る。
欧州の自動車業界では、部品の自動一貫生産ラインをメーカー1社に一括で発注する設備調達手法が増えている。豊電子はロボットを活用した鋳造や機械加工などの自動化システム、制御システムなどを主力とし、17年12月期の売上高見込みは140億円。欧州進出でラインビルダーの実績をつかみ、日本を含む他地域での提案力向上にもつなげる考え。
日刊工業新聞2017年10月27日
日本ガイシ
日本ガイシは11日、NOx(窒素酸化物)センサー(写真)の年間生産能力を現在の1800万本から2020年3月期に2500万本に拡大すると発表した。石川県能美市のセラミックス素子工場とポーランドの組立工場に設備を追加する。投資額は計140億円。排ガス規制強化による世界の需要増に対応する。
同社はNOxセンサー首位。子会社NGKセラミックデバイス(愛知県小牧市)の本社工場と石川工場で心臓部のセラミックス素子を生産。日本ガイシ名古屋事業所(名古屋市瑞穂区)とポーランド子会社NGKセラミックスポーランドの第1工場(グリヴィツェ市)で組み立てている。
石川工場は110億円をかけ19年1月に、ポーランド第1工場は30億円をかけ19年10月に増設分を稼働する。石川工場は4月に稼働したばかり。需要が予想を上回り、さらに増強する。
日刊工業新聞2017年10月12日
サンデン・オートモーティブクライメイトシステム
サンデン・オートモーティブクライメイトシステム(サンデンAS、東京都千代田区、近藤唯志社長)は、欧州で開発した商用車用空調システムを7月からポーランドで生産する。同社が欧州で空調システムを開発したのは初めて。ダフトラック(オランダ)向けに納める。今後は他の欧州商用車メーカーにも拡販を図る。
開発した空調システムは、熱交換器と風を送り出すブロワーからなる空調室内ユニット(HVAC)と、操作用デバイスや空調制御用コンピューターからなるコントロールユニット(CCU)で構成。センサーを駆使して、少ないエネルギーで車内の設定温度に到達させる空調制御方式を採用。さらに、暖房運転時に必要なエンジンの廃熱も熱交換器の形状などを改良することで効率よく使えるようにしたほか、ユニット自体も小型軽量化。搭載する車種の燃費向上に寄与する。
「サンデン・インターナショナル・ヨーロッパ」のドイツ支店(バート・ナウハイム市)のテクニカルセンターで開発し、「サンデン・マニュファクチュアリング・ポーランド」(ポルコビツェ市)で生産する。今夏発売予定のダフ製の大型トラック「CF」と「XF」に搭載される。ダフの新型車は現行車種より7%燃費を向上しており、「空調システムも貢献している」(サンデンAS担当者)とする。
サンデンASは2015年に日本で開発した空調システムの欧州生産を開始。スウェーデンの商用車メーカーであるスカニアに納入している。欧州の他メーカーへ提案を続けるうち現地での開発を要望されたため、「スピード、レスポンスともに速くするため、欧州での開発を決めた」(同)。現地で開発生産したシステムは今後、他の欧州メーカーに訴求する。また、欧州以外でも現地開発体制を整えていく考え。
日刊工業新聞2017年6月20日