開幕したロボット展、まるっと早わかり!動画もあります
サービスロボットは2035年に市場規模が5兆円に近づくと予想されており、日本では産学官が連携して技術・研究開発に取り組んでいる。29日に東京・有明の東京ビッグサイトで開幕した「2017 国際ロボット展」には企業や研究機関が開発した最新のサービスロボットが集結。来場者にヒトとロボットの新しい関係を提案している。
トヨタ自動車のヒューマノイドロボット「T―HR3」は、離れた場所にいる人の動きを再現する遠隔操作型ロボット。人が装着するマスター操縦システムの動きと連動する。開発のキーワードは「優しさ」だ。玉置章文パートナーロボット部長は「ロボットと人の共存には、力強さだけでなく優しさが必要」と説く。
コア技術は、T―HR3の関節29カ所とマスター操縦システム16カ所のトルクサーボモジュールだ。T―HR3が動いた時に関節にかかる力が、マスター操縦システムを通じて人に伝わる。玉置部長は「力加減を学習できる」と成長することも特徴に挙げる。使い込むことで、人に優しいロボットになっていく。
ケーイーアール(愛知県豊川市)は、2輪ロボット「TAIRA」を出展した。番犬のように配置すると通行者を顔認証で識別してついていく。警備や介護施設での徘徊(はいかい)監視などに提案する。
顔認証機能で人物を判定し、レーザーセンサーでその人との距離を保つ。登録外の不審者を通報したり、介護施設入居者の徘徊をステーションに知らせたりするなどの用途を想定する。
2輪機構を開発して高速・高トルクを実現した。最大速度は時速20キロメートルに制限。柿原清章社長は「陸上用トラックで短距離選手を追走できることを確認した。見た目は丸く、機能はシビアにデザインした」と胸を張る。
システムクラフト(東京都立川市)の「RANBOT(ランボット)」はランドセルを背負った防災ロボットだ。遠隔地のコールセンターの担当者が台風や地震などで集会所に避難した住民と、カメラとモニターを通じて会話できる。
内蔵した心拍計や温度計で心拍数と体温を計測し、避難者の健康状態を医師が把握することも可能。開発に当たって東京都立産業技術研究センターが技術協力した。
ロボットのボディーにはランドセルに使われる人工皮革を採用。丈夫で製造の低コスト化にも役立つとしている。商業施設や病院、レンタルショップ、図書館などでの案内、受け付けといった用途にも応用できる。
ロボットの体にアニメの女性の顔―。一見シュールな案内ロボット「アリス」を展示したのはパンゴリン・ロボット・ジャパン(東京都調布市)。同社は中国の蘇州穿山甲机器人股分有限公司(江蘇省)の日本法人で4月に設立した。電気通信大学の技術を活用している。
自律移動で人を避け、音声対話も可能だ。中国では毎月20台のペースで売れており「ホテルなどの施設の案内や警備で利用してもらいたい」(利根川靖臣営業部長)という。
マッスル(大阪市中央区)は伝統芸能の「文楽」をヒントに開発した「黒子ロボット」を披露した。仏像のマスクをかぶり、顔と両手の精密制御と緻密な動作で、感情を豊かに表現する。教示作業が簡単で、ロボットの顔や手に人が直接触れて動かすと、0・001秒ごとの位置を記憶して正確に再現できる。保存データを送信すれば、遠隔地でも同じ動作が披露できる。
すでに文楽で活躍しており、テーマパークなどでの活用も見込む。精密動作の記憶、再現には同社独自のモーターユニットを活用している。同社ブースでは音楽に合わせて動く世界初のパフォーマンス専用ロボットアームなども公開している。
三菱重工業は三菱電機特機システム(東京都品川区)、ヒロボー(広島県府中市)、深田工業(名古屋市北区)、東北大学、消防庁消防大学校消防研究センターと共同開発した消火ロボットシステムを展示した。
石油コンビナートなど、消防隊員が近づけない大規模火災現場で迅速な初期消火活動を担う。消防ロボとして世界初の自律移動や連携機能を装備した。飛行ロボ(ドローン)や放水ロボなど4台が連携して消火に当たる。
放水ロボットは火災の熱を受けにくい構造を持ち、任意の指定位置まで自律走行する。作業者は後方からロボットに指示を与えるため、安全を確保しやすい。2018年度に実戦配備可能な初号機の完成を目指す。
トヨタ自動車、強さと優しさ持つ
トヨタ自動車のヒューマノイドロボット「T―HR3」は、離れた場所にいる人の動きを再現する遠隔操作型ロボット。人が装着するマスター操縦システムの動きと連動する。開発のキーワードは「優しさ」だ。玉置章文パートナーロボット部長は「ロボットと人の共存には、力強さだけでなく優しさが必要」と説く。
コア技術は、T―HR3の関節29カ所とマスター操縦システム16カ所のトルクサーボモジュールだ。T―HR3が動いた時に関節にかかる力が、マスター操縦システムを通じて人に伝わる。玉置部長は「力加減を学習できる」と成長することも特徴に挙げる。使い込むことで、人に優しいロボットになっていく。
顔認証で不審者逃がさない
ケーイーアール(愛知県豊川市)は、2輪ロボット「TAIRA」を出展した。番犬のように配置すると通行者を顔認証で識別してついていく。警備や介護施設での徘徊(はいかい)監視などに提案する。
顔認証機能で人物を判定し、レーザーセンサーでその人との距離を保つ。登録外の不審者を通報したり、介護施設入居者の徘徊をステーションに知らせたりするなどの用途を想定する。
2輪機構を開発して高速・高トルクを実現した。最大速度は時速20キロメートルに制限。柿原清章社長は「陸上用トラックで短距離選手を追走できることを確認した。見た目は丸く、機能はシビアにデザインした」と胸を張る。
ランドセル背負い避難所でお手伝い
システムクラフト(東京都立川市)の「RANBOT(ランボット)」はランドセルを背負った防災ロボットだ。遠隔地のコールセンターの担当者が台風や地震などで集会所に避難した住民と、カメラとモニターを通じて会話できる。
内蔵した心拍計や温度計で心拍数と体温を計測し、避難者の健康状態を医師が把握することも可能。開発に当たって東京都立産業技術研究センターが技術協力した。
ロボットのボディーにはランドセルに使われる人工皮革を採用。丈夫で製造の低コスト化にも役立つとしている。商業施設や病院、レンタルショップ、図書館などでの案内、受け付けといった用途にも応用できる。
アニメ女性の顔で音声対話
ロボットの体にアニメの女性の顔―。一見シュールな案内ロボット「アリス」を展示したのはパンゴリン・ロボット・ジャパン(東京都調布市)。同社は中国の蘇州穿山甲机器人股分有限公司(江蘇省)の日本法人で4月に設立した。電気通信大学の技術を活用している。
自律移動で人を避け、音声対話も可能だ。中国では毎月20台のペースで売れており「ホテルなどの施設の案内や警備で利用してもらいたい」(利根川靖臣営業部長)という。
文楽から生まれた「黒子ロボ」
マッスル(大阪市中央区)は伝統芸能の「文楽」をヒントに開発した「黒子ロボット」を披露した。仏像のマスクをかぶり、顔と両手の精密制御と緻密な動作で、感情を豊かに表現する。教示作業が簡単で、ロボットの顔や手に人が直接触れて動かすと、0・001秒ごとの位置を記憶して正確に再現できる。保存データを送信すれば、遠隔地でも同じ動作が披露できる。
すでに文楽で活躍しており、テーマパークなどでの活用も見込む。精密動作の記憶、再現には同社独自のモーターユニットを活用している。同社ブースでは音楽に合わせて動く世界初のパフォーマンス専用ロボットアームなども公開している。
ロボ4台で連携消火
三菱重工業は三菱電機特機システム(東京都品川区)、ヒロボー(広島県府中市)、深田工業(名古屋市北区)、東北大学、消防庁消防大学校消防研究センターと共同開発した消火ロボットシステムを展示した。
石油コンビナートなど、消防隊員が近づけない大規模火災現場で迅速な初期消火活動を担う。消防ロボとして世界初の自律移動や連携機能を装備した。飛行ロボ(ドローン)や放水ロボなど4台が連携して消火に当たる。
放水ロボットは火災の熱を受けにくい構造を持ち、任意の指定位置まで自律走行する。作業者は後方からロボットに指示を与えるため、安全を確保しやすい。2018年度に実戦配備可能な初号機の完成を目指す。
日刊工業新聞2017年11月30日