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自動運転技術の標準化へようやく国が動きだす。来年度から実証試験

産学官連携で。経産省と国交省は縦割りを排除できるか
自動運転技術の標準化へようやく国が動きだす。来年度から実証試験

日産が開発中の自動運転車のモデル

 経済産業、国土交通両省は24日、トヨタ自動車日産自動車など自動車メーカー6社と部品メーカー、東京大学など産学官のオールジャパン体制で、自動運転技術の標準化や実証試験に着手すると発表した。欧米で自動運転技術の開発が加速する中、日本でも企業の自前主義による作り込み型ビジネスを転換し、安全性や人工知能などの基準作りで企業間の協調を進める。2016年度にもトラックの隊列走行や自動駐車などの実証試験を始める方針だ。

 2月に両省が設置した「自動走行ビジネス検討会」(鎌田実座長=東京大学教授)の中間とりまとめとして公表した。検討会にはトヨタや日産のほか、ホンダマツダ、富士重工業、いすゞ自動車デンソージェイテクトパナソニック、日立オートモーティブシステムズ、ルネサスエレクトロニクス富士通テン、政策研究大学院大学、名古屋大学なども参加している。

 欧州勢は自動運転技術の開発にあたり、国家プロジェクトの下で先端技術開発や標準化活動などで企業の連携が進む。日本の自動車メーカーは、自動ブレーキシステムなどで高い実績を持つものの、自動走行に必要なミリ波レーダーなどは欧米勢にシェアを圧倒されているなど、一部の要素技術で劣勢にある。

 こういった現状をふまえ、日本でも企業・系列間の競争原理を働かせるだけでなく、協調領域を設ける必要があると検討会は判断。安全性試験や人工知能を使った際の安全性評価手法、事故情報の共有などを協調すべき領域とした。同時に日本で低調とされる産学連携の活性化も促す。今後はワーキンググループも設置し、トラック隊列走行などを対象にした事業モデルを検討。16年度にも実証試験へと移るほか、国際標準化の提案や海外との連携も模索する。
日刊工業新聞2015年06月25日 2面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
とにかく遅いが動きだしたことは良いこと。経産省と国交省が変な縄張り意識を出して事が進まないのは止めてほしい。欧州と米国では自動運転技術に対するアプローチがかなり違う。日本はどちらかというとドイツに近いが、標準化で百戦錬磨の欧州とどう向き合っていくかも重要なポイントになる。

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