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NECの顔認証いよいよ実店舗に。ビザが採用

年明けから自動決済、業界に先駆け商用化
NECの顔認証いよいよ実店舗に。ビザが採用

自社イベントでは、レジで精算せずに商品を持ち帰れる仕組みを展示

 NECは9日、生体認証の新展開として、自社の顔認証技術を活用した決済サービスをビザ・ワールドワイド・ジャパン(東京都千代田区)が年明けに実店舗で始めることを明らかにした。新野隆社長が同日に都内で開いた自社イベントで説明した。顔認証だけで個人を認定し、現金を引き落とす仕組み。顔認証による自動決済は、これまで実証実験にとどまっていたが、業界に先駆けて商用化する。

 NECの自社イベント「iエキスポ2017」では、新野社長が基調講演を行い、顔認証技術を含めて人工知能(AI)がもたらすデジタル変革について熱弁を振るった。同社は生体認証技術に関しては指紋、掌紋・静脈、声紋、虹彩、耳音響と幅広く対応する。ここ数年は顔認証の普及拡大に力を注いでいる。

 新野社長は講演で「誰もが安心してデジタルを活用できる世界は、セキュリティーなくては成り立たない」と強調。生体認証の新ブランドとして「Bio―IDiom(バイオイディオム)」を打ち出す方針を示した。

 NECのAI製品全体のブランド名は「ザ・ワイズ(賢者たち)」。新野社長は「ここ1、2年で“賢者たち”が増え、世界ナンバーワンやオンリーワンが多数ある」と胸を張り、生体認証の精度向上でもAIがカギとなっていることを強調した。
「“賢者たち”が増え、世界ナンバーワンやオンリーワンが多数ある」と新野社長

「自らもデジタル変革を推進」


 NECは8日、人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)などを用いて企業や社会を大きく変革する「デジタル変革」の取り組みを強化すると発表した。新たに「集客施設価値向上ソリューション」や「鉄道オペレーション&メンテナンスソリューション」など四つの製品を品ぞろえした。また、AIの検証から導入、活動まで、きめ細かく対応する月額制クラウド「AI活用プラットフォーム」も提供する。

 製品の強化に合わせて、デジタルトランスフォーメーションの提供体制も拡充する。データサイエンティスト(分析官)に加え、ビジネスアイデアの創出から価値提供までを統括する「バリュークリエーター」や、業界・業務に精通した「SME(サブジェクト・マター・エキスパート)」などの人材像を定義。これら専門家集団を2018年度中にグループ全体で1000人体制に整備する。

 集客施設価値向上ソリューションは店舗・商業施設やホテル、スタジアム、テーマパークなどが対象となる。これまで曖昧だった顧客像の属性などを“見える化”し、独自のAI「異種混合学習」により、来場者や売り上げ、需要などを高精度に予測する。

 一方、鉄道オペレーション&メンテナンスソリューションでは、鉄道オペレーションを機械学習して最適な作業順序と復旧時間を提示する。また軌道・電気・車両設備などの鉄道設備データを対象に、データの相関関係を自動で見つけ出す「インバリアント分析」や異種混合学習で解析し、将来の予測や設備劣化に至る要因を提示する。

 このほか「アドバンスド・アナリティクス・クラウド・ウィズ異種混合学習」を提案する。AI活用において、データサイエンティストによる「検証」、アプリケーション(応用ソフト)開発者による「導入」、ユーザーによる「活用」を包括的に支援し、スキルの異なるプロフェッショナルが協働できるクラウドサービスだ。

 導入における分析モデルの応用プログラムインターフェース(API)化を容易にすることで、AIを活用したソリューション開発の迅速化を実現する。エンジンにはNECのAI「異種混合学習技術」を実装する。

 NECの榎本亮執行役員は同日都内で会見し「NEC自らもデジタル変革を推進する。17年度中にグループ全体で約1万7000人に対して教育・育成を実施する」と語った。
日刊工業新聞2017年11月9日/10日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
昨日「iエキスポ2017」に行ってきました。コンビニなどの無人店舗を想定した顔認証技術のコーナーはさすがに関心度も高く人だかり。実際に国内の企業から実証オファーも数多く届いているそう。それ以外でも認証やAI、セキュリティーなどNECの技術ソリューションが数多く体験できる。足元の業績は「稼ぐ力」が弱っており、この潜在力をいかに実ビジネスにつなげていくか。AI・IoT時代の「C&C」企業として存在感を発揮して欲しい。

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