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ボーイング787初号機、セントレアに里帰り。地元も歓迎ムード

中部地方では重工各社が約35%の主要部品を製造。「この地で愛されることを誇りに思う」(ボーイング日本法人社長)
ボーイング787初号機、セントレアに里帰り。地元も歓迎ムード

中部空港へ到着するボーイングの787-8飛行試験初号機ZA001

 ボーイングから中部国際空港会社へ寄贈された787-8型機の飛行試験初号機(ZA001)が6月22日午後1時5分すぎ、中部空港(セントレア)に到着した。同機は現地時間21日午前11時30分(日本時間22日午前3時30分)に、中部行きBOE1便としてシアトルのキング郡国際空港を離陸した。同機の初飛行を担当したボーイングのマイク・キャリカー機長とランディ・ネヴィル機長、初飛行時に追従機を操縦したクレイグ・ボンベン機長が交代で、ラストフライトの操縦桿を握った。

 ボーイングは飛行試験機を5機製造。これらの試験機で得た結果を、航空会社へ引き渡す量産機の設計や製造工程に反映した。飛行試験機の初号機であるZA001は、787の中で最初に製造された機体で、民間航空機の歴史に残る機体が、生まれ故郷とも言える中部地方へ里帰りした。青を基調としたボーイングカラーの787が日本へ飛来するのは、今回が初めて。

 同社は飛行試験機の2号機と3号機を米国内へ寄贈しており、今年3月に2号機(ZA002)を米アリゾナ州・ツーソンのピマ航空博物館へ、3号機(ZA003)を米シアトルの航空博物館へ、2014年11月に贈った。中部空港会社では今後、具体的な展示形態を検討していく。

 キャリカー機長は2007年、最初の787となったZA001の胴体を、787の大型部位輸送に使用している大型輸送機「ドリームリフター」で、中部からシアトルまで運んだ。「大変思い出に残っており、ふさわしい地に持ってこられてうれしい」と、自ら部位を運んだ機体のラストフライトを終えた感想を語った。ネヴィル機長は、「ラストフライトは寂しかったが、セントレアで今後何世代にも渡り、この機体が人々に愛されることはうれしい」と話した。

 ZA001は現地時間2009年12月15日、エバレット工場に隣接するペインフィールド空港で初飛行に成功。その後は2011年までさまざまな飛行試験に使用され、試験終了後はカリフォルニアの砂漠に留置されていた。

 中部地方では、重工各社が787全体の約35%にあたる主要部品を製造していることから、寄贈が決まった。中部空港でZA001を出迎えたボーイング・ジャパンのジョージ・マフェオ社長は「787にとって、名古屋は重要な役割を担っている。ZA001がこの地で愛されることを誇りに思う」と語った。中部空港の展望デッキには、平日にもかかわらず多くの航空ファンが詰めかけ、到着後に開かれたパイロットのトークショーも盛況だった。

 787は標準型の787-8、長胴型の787-9、超長胴型の787-10の3機種で構成され、787-9は787-8より胴体が6メートル長く、787-10は787-9と比べて5.5メートル長い。カタログ価格は、787-8が2億1830万ドル(約266億3260万円)、787-9が2億5710万ドル、787-10が2億9750万ドルとなっている。エンジンはZA001と同じ英ロールス・ロイス製トレント1000と、米GE製GEnx-1Bから選択できる。

 5月末時点での受注は1105機(787-8が456機、787-9が509機、787-10が140機)で、このうち282機(787-8が255機、787-9が27機)を引き渡し済み。日本の航空会社では、787のローンチカスタマーである全日本空輸が標準型の787-8を36機、長胴型の787-9を44機、超長胴型の787-10を3機発注済み。このうち、787-8は33機、787-9は4機が引き渡されている。日本航空は6月現在、787-8を25機と787-9を20機発注済みで、787-8を21機、787-9を1機受領している。
吉川忠行
吉川忠行 Yoshikawa Tadayuki Aviation Wire 編集長
787最初の機体である787-8の飛行試験初号機が22日、セントレアへ到着しました。今後は機体を展示予定ですが、まだ具体的な方法は決まっていません。子供たちに夢を与え、航空産業へ入っていくきっかけを与えて欲しいものです。

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