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パナソニックがJTBと来月から多言語翻訳機を実証。「加賀屋」などに設置へ

日英中韓の4カ国語に対応するモニター付。改善点を抽出し17―18年ごろの実用化目指す
パナソニックがJTBと来月から多言語翻訳機を実証。「加賀屋」などに設置へ

パナソニックの多言語翻訳機

 パナソニックは22日、JTBと協業し、訪日外国人観光客へのサービス向上のため、多言語自動翻訳機を使った実証実験を7月に始めると発表した。期間は9月末まで。宿泊施設などの国内3カ所で、日英中韓の4カ国語に対応するモニター付の翻訳機を設置する。接待業務における同機の有用性の評価や改善点の抽出などを行う。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでの普及を見据え、17―18年ごろの実用化を目指す。

 パナソニックと情報通信研究機構で共同開発中の多言語翻訳技術を使う。将来は10カ国語程度に対応させる。観光客と応対係が同機に付属するマイクでやりとりする。話した言葉を数秒で文字と音声に翻訳する。実験場所は「和倉温泉 加賀屋」(石川県七尾市)、「京都ホテルオークラ」(京都市中京区)、JTBが運営する観光案内所「東京シティアイ」(東京都千代田区)。今後、北海道や沖縄県など他地域での実験も検討する。

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 大手電機メーカー各社が2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、製品や技術の提案活動を本格化している。パナソニックは12日から官公庁などの担当者を招き、多言語翻訳機などの内覧会を都内で開催。三菱電機は五輪会場に簡易に設置できる無線型の監視カメラを開発した。16年度に事業化する予定だ。五輪向けのインフラ投資が具体化する中、受注競争が熱を帯び始めた。

 パナソニックの多言語翻訳機は首にかけるウエアラブル型で、英語や中国語など10カ国語に対応する。五輪の際に訪日する外国人に応対できる。また買い物の決済やホテルのチェックイン、五輪会場の入場などを一つの端末で行える仕組みを提案。このほか監視カメラや誘導など多様なソリューションを展示した。

 今後、自社にない技術や知見を持つ企業と協業して製品化し受注につなげる方針だ。五輪担当の井戸正弘役員は「今回の展示会は20年に向けた号砲。他社と連携し、オールジャパンで取り組む」と意欲をみせる。

 一方、三菱電機が開発した監視カメラは無線で映像データを携帯端末に伝送し監視できる仕組み。低コストで簡易な設置が求められる東京五輪での利用を見込み、官公庁などに訴求する。日立製作所は13年に専門の営業組織を新設。顔認証や交通渋滞緩和など得意なシステムを提案している。電機各社は大型商談に備え、新技術の提案に本腰を入れている。
日刊工業新聞2015年02月13日/06月23日 電機・電子部品・情報・通信
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
やはり翻訳機はウエラブル端末といずれ一緒になっていくだろう。メガネ型が一番スムーズだとは思うのだが。

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