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華々しいモーターショーで「軽」はとても現実的な展示だった

販売競争激しく、各社「実」とり知恵比べ
華々しいモーターショーで「軽」はとても現実的な展示だった

スズキのスペーシアコンセプトは、スーツケースに見立てたデザインが特徴

 未来のクルマがひしめく東京モーターショーで、軽自動車は市販車やそれに近いモデルなど、現実的な展示が中心となった。9月に全面改良した軽トップのホンダ「N―BOX」を追う形で、スズキやダイハツ工業も主力車種の全面改良を予定する。華々しいモーターショー会場は近い将来の激しい競争の幕開けの舞台となった。

 ホンダとスズキ。隣り合うブースに並ぶ新型N―BOXとスズキ「スペーシア」のコンセプトモデル。スペーシアはほぼ量産車の完成度で、鈴木俊宏スズキ社長は「間もなくお届けできる」と近々の発売を宣言した。

 スペーシアコンセプトには誤発進による後方の自動ブレーキシステムや車速や警告などの情報をフロントガラスに投影するヘッドアップディスプレーなど軽初の安全技術が満載。15、16年度と2年連続で軽自動車の販売台数1位を誇る“軽の王者”に挑む。

 新型N―BOXも目玉は先進安全技術だ。自動ブレーキや誤発進抑制機能などの安全運転支援システム「ホンダセンシング」を同社の軽で初採用し、標準装備した。今回の出展を通じ、「N―BOXをより多くの人に知ってほしい」(担当者)と自信をみせる。

 ダイハツ工業も次期「タント」の方向性を示すコンセプト車を出展しており、人気の軽ハイトワゴン市場は三つどもえの激戦が予想される。

 12年に軽自動車で初めて衝突回避支援システムを搭載したダイハツは「先進技術をみんなのものに」(奥平総一郎社長)を掲げる。モーターショーでは、軽の規格内で運転席後方が診療スペースやパン屋、宅配棚など、用途に応じて変えられる商用電気自動車(EV)「DNプロカーゴ」を披露した。モーターと電池を床下に置き、車室内を平らにできるEVの特徴を生かした。後部リフターで積み下ろしの作業負担も軽く、ダイハツ幹部は「低床フラットが目的。EVはあくまでツール」と強調する。

 三菱自動車は「eKカスタム」と「eKスペース カスタム」の特別仕様車「アクティブギア」を初披露。外観と内装にアクセントカラーとしてオレンジ色を施し、レジャーシーンなどに映えるデザインに仕上げた。近日中に発売予定。

 小さな車にどれだけ技術やアイデアを盛り込めるか。各社の知恵比べは見応え十分だ。
ダイハツは「DNプロカーゴ」を初披露した
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
毎回こんなものでしょう。軽はもともとが燃費車であり、[EV」にフォーカスされた今回のモーターショーでは余計に埋もれてしまいがち。それでも地道に進化しているところが軽の強さでもある。

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