“海の新幹線”に思いはせる
青函連絡船「八甲田丸」、当時乗っていた人も楽しめる
青函連絡船「八甲田丸」―。この名に、郷愁を覚える人も多いのではないだろうか。片道113キロメートルの海路を往来。23年7カ月の間、本州と北海道を結んだ。1988年の青函トンネル開通でその役目を終えた。2011年に日本機械学会の「機械遺産」に認定。青森市のシンボルとなっている。
就航は1964年。当時の技術の粋を集めた設計で「海の新幹線」と呼ばれた。同型の姉妹船が7隻ほどあるが、三菱重工神戸造船所で生まれた八甲田丸が最も長寿だった。
元機関長のガイドによる案内で船内をゆく。デッキには八甲田山脈から寒風が吹き付ける。羅針盤の方位は、今も対岸の函館を指す25度(北北東)のまま。タラップを下りると客室に。フラットシートの升席や寝台室を再現している。約70度までリクライニングできる1等席ではビール片手に津軽海峡を眺めながらくつろぐ人もいるとか。
青森市経済部交流推進課の浅利俊彦主事は「車両甲板も見学できる。当時乗っていた人も楽しめる」と話す。ほの暗い甲板は客室と全く違う雰囲気が漂う。波にゆられるごとに船体が岸壁を打ち付け、にぶい音が響く。
観光客はカップルが目立ち、大阪など遠方から来た人も。「乗ってみたかったな」との声も聞こえる。船内に流れる石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」とともに、海峡を行き交った当時の人々に思いをはせてみる。
(文=仙台・田畑元)
就航は1964年。当時の技術の粋を集めた設計で「海の新幹線」と呼ばれた。同型の姉妹船が7隻ほどあるが、三菱重工神戸造船所で生まれた八甲田丸が最も長寿だった。
元機関長のガイドによる案内で船内をゆく。デッキには八甲田山脈から寒風が吹き付ける。羅針盤の方位は、今も対岸の函館を指す25度(北北東)のまま。タラップを下りると客室に。フラットシートの升席や寝台室を再現している。約70度までリクライニングできる1等席ではビール片手に津軽海峡を眺めながらくつろぐ人もいるとか。
青森市経済部交流推進課の浅利俊彦主事は「車両甲板も見学できる。当時乗っていた人も楽しめる」と話す。ほの暗い甲板は客室と全く違う雰囲気が漂う。波にゆられるごとに船体が岸壁を打ち付け、にぶい音が響く。
観光客はカップルが目立ち、大阪など遠方から来た人も。「乗ってみたかったな」との声も聞こえる。船内に流れる石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」とともに、海峡を行き交った当時の人々に思いをはせてみる。
(文=仙台・田畑元)
【アクセス】▽青森市柳川1の112の15地先、017・735・8150▽JR青森駅から徒歩5分、JR新青森駅から車で20分。車の場合青森中央IC(青森自動車道)から20分。開館時間は夏季(4―10月)が9―19時、冬季(11―3月)が9―17時まで。ボランティアガイドを依頼する際は、事務所に電話連絡が必要。
日刊工業新聞2017年10月20日