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「777X」向け投資が本格化。富士重、宇都宮を航空宇宙の専用工場に

50億円超を投資、空き建屋に機体部品や機械加工設備を導入。半田の新工場へ輸送
「777X」向け投資が本格化。富士重、宇都宮を航空宇宙の専用工場に

「777X」(ボーイングジャパンのサイトより)

 富士重工業は宇都宮製作所(宇都宮市)の航空機事業の生産設備を大幅に増強する。同製作所で手がけていた塵芥(じんかい)収集車事業を新明和工業へ譲渡したことで、空いた工場建屋を活用し、機体部品の機械加工設備などを導入する。同製作所は実質航空宇宙事業の専用工場となる。

 自動搬送装置やオートリベッター(自動打鋲機)、表面処理設備などを追加し、省人化と環境対応を両立した最新鋭工場となる。富士重は現在、宇都宮製作所の3拠点(本工場、南工場、南第2工場)を航空宇宙カンパニーで利用しており、工場建屋を実質追加する形になる。

 2014年に国際共同開発に参画することが決まった米ボーイングの次世代大型旅客機「777X」の機体部品製造に向けて、設備増強の検討を進めてきた。中央翼などを担当する。ボーイングの「787」や「777」の分担製造では、宇都宮製作所で部材を加工し、半製品とした上で半田工場(愛知県半田市)に輸送、組み立てている。今年1月に半田工場に「777X」向け新工場を建設することを発表済み。

 宇都宮製作所は今回の大幅な設備増強に併せて、工程の整流化や自動化を進めるほか、環境規制に対応した新しい表面処理設備を導入する。投資額は明らかにしていないが、50億円以上になる見通しだ。
日刊工業新聞2015年06月16日 機械・ロボット・航空機面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
すでに787の生産工程ではロボット化を進め効果を上げている。自動車事業で磨いてきた“カイゼン”の力も生かされるだろう。自動車と航空宇宙ではそれぞれの事業で投資や採算をみているが、全社で収益構造のよい循環ができており、経営判断もスピード感を持ってやれる環境にある。

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