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王者・ダイソン対抗!コードレススティック掃除機で魅惑の製品相次ぐ

三菱電機は空気清浄機と掃除機用スタンドを一体化、経営危機のシャープも軽量化型
王者・ダイソン対抗!コードレススティック掃除機で魅惑の製品相次ぐ

シャープの「フリード2」と三菱電機の「インスティック」(右)

 国内の掃除機市場はロボット型やふとん用などの新ジャンル製品が引っ張り、市場全体も伸長する傾向にある。新ジャンルの中でもコードレススティック式掃除機は、掃除機全体における販売構成比を年々増やし、2014年度は数量で13%、金額で21%を占める(GfKジャパン調べ)。シャープによれば14年度の同式掃除機の業界出荷台数は前年度比60%増の45万台。15年度も同18%の市場拡大が見込まれ、各社は差別化アイデアを盛り込んだ新製品を相次ぎ投入している。

 【ダイソン追って】
 コードレススティック式掃除機の市場拡大のきっかけを作ったのは英ダイソン。11年に得意のサイクロン式によって取り回しが容易なコードレスタイプを投入。5万―9万円台という高価格帯の2台目需要を開拓した。以降、各社はこぞってコードレススティック式を投入、同ジャンル首位のダイソンを追う構図となった。
 
 【軽量かつ頑丈】
 東芝ライフスタイル(東京都青梅市)は14年2月に同式掃除機「トルネオVコードレス」を投入。15年3月には本体、パイプ、ヘッドにグラスファイバーを使った本体重量1・9キログラムの軽量で頑丈な新製品を発売。「前年度に続き15年度も業界と同水準の伸長を見込む」(同社広報)。
 
 シャープは14年5月に同式掃除機「フリード」を発売。年間10万台弱の販売目標に対して実績は「ほぼ計画通り」(檜垣整健康・環境システム事業本部ランドリーシステム副事業部長)とする。7月中旬に発売する新製品は、重心位置を見直して使用中の手にかかる重さを従来比40%減の1・08キログラム(本体重量は2・1キログラム)にしたほか、利用者が手を離してもその場で自立する設計を採用して使い勝手にこだわった。
 
 【購入目的広がる】
 三菱電機は15年3月に空気清浄機と掃除機用スタンドを一体化した「インスティック」を発売。市場参入は他社に後れを取ったが、デザイン性のある空気清浄機として掃除機を常に部屋に出しておくことを提案。オフィス用や記念品用など、購入目的に広がりが生まれ「当初販売計画の月5000台に対し約1・5倍の実績で推移している」(同社広報)という。
 
 15年度は堅調に推移する見通しのコードレススティック式市場。ただ、アイリスオーヤマのように2万円台の製品を投入するメーカーも現れているほか、インターネット通販では1万円前後の低価格品も多数見られ、市場拡大のピークは過ぎた印象もある。国内各社は海外メーカーが切り開いた市場に群がる構図を脱却し、自ら新市場を開拓したいところだ。
日刊工業新聞2015年06月19日 電機・電子部品・情報・通信面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
今、家電売場で盛り上がって商品の代表格が掃除機。簡易なスティック型やロボット型といった新たなジャンルが登場し、消費を刺激している。これからやはり注目されるのがロボット型でのダイソンだろう。発売が秋に延期になったが、「 Eye 360 」はカメラSLAMで動く初めてのロボット掃除機。レーザーセンサーに比べて安く認識度も高い。一方で暗部に弱いと言われ、技術的にも高度である。掃除機は家庭の中で動いて使う家電として、いろいろな視点からまだまだイノベーションがある。

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