日本のブロックチェーンはどこから広まる?
ライドシェアや民泊との共通性
金融機関を中心に「ブロックチェーン」(分散型台帳)と呼ぶ、新しいネットワーク技術の実証実験が相次いでいる。世界的に業界横断的な新たな産業基盤となる可能性は大きく、この波に乗り遅れてはならない。
ブロックチェーンは取引の記録をまとめた「ブロック」を利用者間で相互に認証しながらやりとりする仕組み。取引履歴がチェーン(鎖)のように時系列でつながって記録されるため、こう呼ばれる。
実用化への取り組みは欧米勢が先行しているが、日本勢もここにきて本格的に動きだしている。直近では全国銀行協会がブロックチェーンを活用した金融サービスの実証実験を10月中をめどに始めることを表明した。新たな決済・送金サービスや、本人・取引時確認などのアプリケーション(応用ソフト)開発環境として、会員各行に提供する計画だ。
ブロックチェーンが仮想通貨のビットコインの基盤技術として世に知られるようになったのは約10年前。当初は技術的に未知数といわれていたが、金融機関や大手IT各社の後押しもあり、いまやインターネットを代替する革新技術として脚光を浴びている。
国内では日本取引所グループ(JPX)が2016年4月から始めた実証実験がトリガーとなり、ブロックチェーンに対する本気度が高まった。今回、全銀協が動き出したことで、金融サービスでの実用化が加速するのは確実だ。
ブロックチェーンの活用にはITベンダー各社も期待を寄せている。東京証券取引所の実証実験では日本IBM、野村総合研究所、カレンシーポート(東京都千代田区)が参加した。全銀協の実証実験には、富士通、NTTデータ、日立製作所、ビットフライヤー(東京都港区)が選ばれた。
ブロックチェーンの適用範囲は広く、貿易業務向けサプライチェーンや地方通貨、公共サービスなどが有望視されている。新しい産業を生み出す覚悟で、ブロックチェーンと向き合うことが必要だ。
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日刊工業新聞2017年10月2日