ニュースイッチ

ソニーが「スマートホーム」へ本気。電子鍵を起点に事業広げる

「キュリオ」を完全子会社化、まずスマホと連携
ソニーが「スマートホーム」へ本気。電子鍵を起点に事業広げる

キュリオのスマートロック

 ソニーはスマートホーム事業の強化に向け、スマートロック(電子鍵)を手がける米投資会社との合弁会社「Qrio」(キュリオ、東京都渋谷区)を完全子会社化した。スマートロックとカメラやテレビといったソニーグループの製品群を連携し、家庭の消費電力や健康管理、防犯システムなどを事業化する。8月には東京電力子会社と家庭用見守りサービスを始めており、スマートホームをIoT(モノのインターネット)事業の核として育てる。

 キュリオはスマートフォンで鍵を操作するスマートロックを手がけるベンチャー企業。2014年にソニーと米ベンチャー投資・育成企業のWiL(ウィル、カリフォルニア州)が共同出資して設立した。取得額は数億円とみられる。

今回、ウィルが運営する投資ファンドが保有するキュリオの60%の株式をソニーが買い取った。その後、ソニーの通信事業子会社であるソニーネットワークコミュニケーションズ(SNC、東京都品川区)が、キュリオの全株式を引き受けた。

 スマートロックはスマートホームの入り口を担うキーデバイス。キュリオの製品はソニーの無線セキュリティ技術を利用しており信頼性と安全性が高い。

 今後、スマートロックと照明やカメラ、テレビといったソニーグループの製品群を組み合わせ、誰が帰宅したか特定して、個人の好みに合わせた音楽やテレビ番組をつけたり、帰宅状況を通知したりするソリューションの実現も視野に入れる。

 ソニーはSNCの親会社でスマホを手がけるソニーモバイルコミュニケーションズ(東京都品川区)を中心に、IoT事業を拡大する。20年度にはモバイル事業の営業利益で、通信やIoTといった非ハードウエアビジネスの比率を50%にする目標を掲げる。

 8月には東京電力エナジーパートナーとの協業で、各種センサーを活用した家庭用見守りサービスの提供を開始。スマートホーム分野へ本格参入した。
日刊工業新聞2017年9月27日
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
ソニーモバイルはスマホに次ぐ事業の柱として、IoT事業に力を入れる。今回のキュリオ子会社化はその姿勢が具体的に表れた形だ。IFAではスマートスピーカーを発表しており、今後はスマートホーム関連の動きがより活発になっていきそうだ。この分野は今後競争が激しくなることが予測される。ソニーは「家の入り口から中まで」を掲げるが、差別化できるソリューションと、ハードウエアだけでないマネタイズの方法を構築できるかがカギとなるだろう。

編集部のおすすめ