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キリンの営業職6500人、「働くママ」を1カ月疑似体験

「なりキリンママ」対象拡大へ
キリンの営業職6500人、「働くママ」を1カ月疑似体験

なりキリンママの実験には上司や仲間の協力と理解が不可欠(写真はイメージ)

 キリンは試験的に実施していた疑似ママ体験「なりキリンママ」の取り組みを、2018年4月からキリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンの中核3社の営業職全員などに拡大する。対象の社員は合計約6500人。子どもの保育園送り迎え、発熱による急な休みなどを営業部署メンバー全員に交代で疑似体験してもらう。上司を含む職場の理解や、“時間内に仕事を終わらせる”働き方改革につなげる。

 なりキリンママは子どもがいない社員に疑似ママやパパになってもらい、定時出社や定時退社、保育園からの連絡による仕事中の早退などを1カ月間、疑似体験する。同一部署で数人ずつ交代で体験し、2年以内に全員が終える仕組み。

 営業の仕事は夜間や早朝に相手先へ出かけることが多く、勤務時間も不規則になりがち。1カ月の体験期間は「数日や1週間だと現場メンバーのやりくりで何とかできてしまう。そこで、子育てママやパパが長期間いるとの前提で、まわりのサポート体制を作る」(キリン人事総務部人事担当)狙いで設定した。

 本人に仕事を早く切り上げる方法を考えてもらうほか、上司や仲間メンバーも急な休みや早退などで具体的にどうしたらよいかをシミュレーションできる。
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
キリン中核3社の営業部門は約2600人。酒販店めぐりをする営業は「昔は典型的な男性職場だった」(キリン人事総務部人事担当)が、最近は女性メンバーも増えている。さらに、新入社員の約半数が女性のため「活用が大きな課題になっていた」(同)。介護休職や育児パパの支援にも今回の取り組みで得たノウハウを活用する。 (日刊工業新聞第二産業部・嶋田歩)

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