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石油化学大手、ドローンで工場の設備点検

老朽化進みメンテナンス負担の増大が課題
石油化学大手、ドローンで工場の設備点検

経産省も化学工場のスマート保安を推進する(出光興産の千葉工場)

 石油化学大手は化学工場の設備点検にドローン(飛行ロボット)を活用する。旭化成は2019年の定期修理に合わせて導入する。出光興産はベンチャー企業と組んで実証試験を実施した。熟練作業者が減少傾向にあるほか、高所の点検は危険な作業があり、ドローンの活用余地は大きい。経済産業省も17年度からIoT(モノのインターネット)やビッグデータ(大量データ)の活用に積極的な事業所の認定制度を始めるなど、化学工場のスマート保安を推進している。

 旭化成は水島製造所(岡山県倉敷市)の定期修理時にドローンを活用する。高さ100メートル超の自家発電の煙突など高所で、設備外観の診断に使う計画。高所作業に必要な足場が不要でコスト削減につながる。

 出光興産は自律制御システム研究所(千葉市美浜区)と共同で、千葉工場(千葉県市原市)でドローンのデモ飛行を行った。フレアー設備(廃ガス燃焼設備)を高さ25メートルで撮影し、検査適用の可否を調査。今後、実運用に向けた実証試験を検討する。

 三菱ケミカルも水島事業所(岡山県倉敷市)で、ドローンにより蒸留塔の外観を確認できるかを試験した。実用性のある鮮明な画像を得られており、他事業所でもドローン活用を検討する。

 日本では航空法により、ドローンを人口集中地区で飛ばす際には国土交通省の許可が必要だ。危険物を多く扱う化学工場内での飛行承認には、通常より許可が下りるのに時間がかかるとされる。現状は敷地外の道路で試験飛行するケースもあり、本格導入には解決すべき課題が残る。

 一方で全国の石化工場は老朽化が進み、メンテナンス負担の増大が大きな経営課題だ。政府の規制緩和などの動向も注視しつつ、各社はプラントの安心・安全操業に向けて先端技術を活用する。
日刊工業新聞2017年9月26日
川上景一
川上景一 Kawakami Keiichi JEITA 常務理事
ドローンを石油化学プラントの設備点検に活用する試みが進んでいる。熟練作業者の減少を補い、高所における作業の廃止による安全向上やコスト削減を実現し、検査時間も短縮できる等、実用化の価値は大きい。一方で、実用化には、ドローンの墜落や衝突をどう防ぐか等の課題もある。10月3日~6日に幕張メッセで開催されるCEATEC JAPANの主催者特別企画展示「IoTタウン」では、測位技術を有する「マゼランシステムズジャパン」とドローンの自立制御技術を開発している「自立制御システム研究所」の2社が"共創"して、この課題の解決を提案する。工場の設備点検へのドローン活用をお考えの方に加えて、農業や物流への展開も期待されるので、多くの業種の方々にブースを訪ねていただきたい。

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