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『今は働きたくない』女性の背中を押せ!外食・小売り、主婦採用を積極化

短時間勤務、レジ簡素化
『今は働きたくない』女性の背中を押せ!外食・小売り、主婦採用を積極化

労働力として、主婦に注目する企業が増えている(イメージ)

 外食業や小売業が主婦の採用に力を入れている。地域とのつながりが強く、卒業などライフステージの変化が起こりやすい学生と比べ、離職率も低い点に着目している。「『働きたい』女性はすでに働いている。『今は働きたくない』女性の背中を押さなければ、社会が回らなくなっている」(竹増貞信ローソン社長)中、短時間勤務への対応や、ストレスを減らすための取り組みが進む。

 セブン―イレブン・ジャパンの古屋一樹社長は求職者がコンビニを選ぶ理由を「『生活の近くで』『フレキシブルに働ける』点。時給はその次」と話す。同社は店舗従業員向け保育園の設置を始めた。待機児童が多い地域などを中心に設け、子育て世代の採用を狙う。

 ファミリーマートは19日に初めて、主婦や主夫に特化した採用説明会を開いた。日本マクドナルドは主婦向けのアルバイト体験会を、全国の店舗で10月末まで実施している。週2時間から働くことができる点や、従業員を褒めて育てる方針などを知らせる。

 同社の店舗従業員のうち半数は学生、2割は主婦だ。以前は丈が短かった制服をユニバーサルデザインにしたり業務を分業化したりといった工夫をしており、長敦子執行役員人事本部長は「若い人の職場という印象を払拭(ふっしょく)したい」と語る。主婦の勤続期間は学生の2倍だ。

 民間企業の人材育成が専門の東京大学の中原淳准教授は主婦のパートやアルバイトが続かなくなる一因に「ベテランとの確執など、人間関係のトラブル」を挙げる。日本マクドナルドの長執行役員は「多様な人材に、公平に接することが大切」と指摘する。

 竹増ローソン社長も「今までは『いかに人を集めるか』だったが、今は『いかに長く働いてもらうか』」が課題だと強調する。仕事のストレスを減らすため、ハード面の整備も進む。ファミマはレジ刷新で、客層を把握するための年齢性別ボタンを廃止した。

 ローソンは11月、自動釣り銭機付の新機種への切り替えを始める。竹増社長は「メーカーは細かい“カイゼン”を積み重ねている。レジからフライヤーまでの歩数やモノの置き方も含め、徹底的に店内レイアウトを見直す」と話す。
(江上佑美子)
日刊工業新聞2017年9月21日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
子供がいる主婦であれば、「急に仕事を抜けられるか」といった勤務形態の柔軟性も職を選ぶポイントになりそうです。

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