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ブナシメジ廃培地から糖を量産へ

長野県テクノ財団が産学連携で技術開発
ブナシメジ廃培地から糖を量産へ

国内生産量首位のブナシメジの廃培地から糖を生成

 長野県テクノ財団は、キノコ廃培地から各種の糖を量産する技術開発に産学連携で取り組む。グルコースとキシロースを生成する技術に加え、付加価値の高い希少糖を生成する東京理科大学のシーズを融合。2018年度から3年間かけて実用化を目指す。長野県は全国有数のキノコ産地。大量に発生する廃培地を活用した新産業の創造を狙いとして、同財団は関連企業による技術開発と事業展開を支援する。

 開発に取り組むのは、県テクノ財団、表面処理業の信光工業(長野市)とそのグループ会社でキノコ栽培を手がけるキノコ村(同)、東京理科大、同大学発ベンチャーのアクテイブ(千葉県野田市)で構成する研究グループ。

 16年に発足し、ブナシメジの廃培地1グラムからグルコース330ミリグラム、キシロース92ミリグラムを生成できることを確認。糖化手法と工程を改良すれば、同廃培地1トン(乾重量400キログラム)からグルコース100キログラム以上を生成できると試算している。

 東京理科大総合研究院の阿部正彦教授の研究グループは世界で初めて光触媒を利用してグルコースから希少糖をつくる技術を確立。その技術を使った量産も目指す。酵素糖化法に比べて効率の高い酸分解糖化法を採用。回収率の向上などの課題解決に取り組む。糖の生産事業が機器製造業や食品工業に派生すれば、地域産業の振興につながるとみている。
日刊工業新聞2017年9月13日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
県内のブナシメジ生産量は年間約4万7000トンで国内首位。一方、培地の廃棄量は1日当たり318トン。その多くは堆肥利用に限られており、処理費用がかかるなど再利用が課題となっている。

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