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東京五輪はお台場でロボット体験を!

全国各地の空港などにも。政府が訪日外国人向けに体験スペースを設置し技術をアピール
東京五輪はお台場でロボット体験を!

五輪を機に案内ロボットの普及も見込めるか(芝浦工大のおもてなしロボット)

 政府は、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年に、先端ロボットの実演など近未来社会を体験できるスペースを東京・台場や全国各地の空港に設置する。訪日外国人が多数訪問する五輪期間中を見据え、道案内や多言語翻訳ができる「おもてなし」ロボットや自動運転車などを導入する。ロボット化社会を世界に向けてアピールするほか、導入した技術や仕様を世界標準として確立することも視野に入れている。6月末改定の政府の成長戦略に盛り込む。

 計画では、16年度中にロボットの具体的な活用手法の公募やルール整備を行い、事業者を選定。実証試験を進めながら、20年に先端ロボットを試験的にお台場など各地に導入する。具体的には、道案内などのコミュニケーションロボット、パーソナルモビリティや自動車いすを含むシェアードサービス型自動運転車、荷物の運搬を助けるアシストスーツなどの導入を想定している。ロボットが移動しやすい「ロボットバリアフリー」社会などインフラ開発も検討する。

 五輪開催後は、導入した技術や固めた仕様などが国際標準となるように、働きかけていく。五輪会場が多く設置されるお台場や青海周辺は水素エネルギー社会の導入が進むなど、先端技術を訪日外国人に発信するショーケース化の構想がある。また同地域で高度な自動運転を可能とする高精度地図の作製が政府主導で始まっている。

 空港は日本の玄関口として訪日客の第一印象に影響を与える。成田空港では日本の先端のトイレが設置されるなど文化や技術のショーケースとして機能しつつある。
日刊工業新聞2015年06月18日 2面
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
東京五輪が開催される2020年を、ロボット飛躍の年にしようとする動きが加熱している。その実現以上に大切なのは「ポスト2020」。単なるお祭りではなく、新しいロボットビジネスが循環するエコシステムを作らなければ意味がない。本文中にある世界標準もその一つ。これまで日本が弱いと言われてきた分野だけに、戦略的に進めて巻き返しを図ってほしい。

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