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パリ国際航空ショーで日本の中堅・中小企業が「商談力」全開!

炭素繊維の穴あけ、衛星出展、新潟市は共同工場PR
パリ国際航空ショーで日本の中堅・中小企業が「商談力」全開!

由紀精密は小型衛星をアピール

 【パリ=杉本要】日本の中堅・中小企業が航空宇宙関連の事業を相次ぎ拡大する。スギノマシン(富山県魚津市)は今秋に欧州の工業規格を取得し、機体の穴あけ機の海外販売に乗りだす。大和合金(東京都板橋区)は3年後をめどに、航空機向け特殊銅合金の出荷量を現在比1・5倍に引き上げる。世界的に航空市場の拡大が確実視されるなか、各社は従来の主要顧客を超えた新しい受注の獲得に動く。

 仏パリで開催中の航空宇宙産業展「パリ国際航空ショー」。欧米系を中心とする世界の調達や生産技術担当者らが多数詰めかけており、日本の中堅・中小サプライヤーも商談に臨んでいる。

 ■穴あけ提案
 スギノマシンはアルミニウムやチタン、炭素繊維強化プラスチックなどに穴をあける「ニューコンフィーダ」を提案している。現在は国内の機体メーカー向けに納入するが、今後は2015年秋をめどに欧州での販売適合基準「CEマーキング」を取得し、本格的な海外販売を始める計画だ。

 大和合金は航空機の降着装置(ランディングギア)向けに特殊銅合金を供給してきた実績を海外勢にアピールする。萩野源次郎社長は「航空機への銅合金の使用率は低いが、耐摩耗性の高さなどの特性を訴えかけていきたい」と話す。

 ■新潟市が支援
 三光刃物製作所(名古屋市中川区)は、航空機向けに開発した特殊ドリルを出品。欧州の航空機関連企業との商談を通じ「いくつかの案件でドリルのサンプル提供までこぎつけられそう」(森島裕貴社長)と明かす。

 新潟市が主導する「新潟スカイプロジェクト」は16年春に完成予定の航空機部品・装備品の共同工場をPRする。新潟市航空産業立地推進室の宮崎博人室長は「航空機産業は先行投資型の産業。20年の需要に対応するよう、今から企業支援を充実させたい」と話す。

 ■衛星を出展
 宇宙分野では、由紀精密(神奈川県茅ケ崎市)が資本・業務提携するシンガポールのアストロスケールと共同出展。宇宙ゴミ除去に用いる小型衛星「ADRAS―1」の試作品を初展示。17年に予定する実証実験に向け「宇宙関連事業には力を入れる」(大坪正人社長)と意気込む。
日刊工業新聞2015年06月18日 1面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
パリから杉本ファシリテーターのレポート。自動車のように完成車が強ければ産業の裾野も広がる。まずはMRJがしっかり立ち上がらねば。

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