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「こども保険」の財源に年金返上構想

経済同友会代表幹事「聞いていない」
 経済同友会の小林喜光代表幹事は29日の定例会見で、自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長が「こども保険」の財源として企業経営者に年金返上を求めるとの動きについて「全く聞いていない」と同調しない考えを示した。

 小泉氏が提唱する「こども保険」は現役世代の社会保険料に上乗せし、財源を捻出し幼児教育と保育の無償化に充てるものとして自民党内で浮上。経済同友会や経団連役員に年金返上の趣旨を説明したと一部で報じられた。

 これに対し、小林代表幹事は「そもそも保険というコンセプトは何なのか。消費税を17%まで持って行かなければ財政健全化は実現しないのは明らか」と述べた。

 その上で「政治はそれに向けてまっとうに戦うべきだ」と強調した。「中途半端な、まやかしみたいなことをやってもしょうがない」とクギを刺した。
2017年8月30日日刊工業新聞総合3面
神崎明子
神崎明子 Kanzaki Akiko 東京支社 編集委員
小泉氏の提案に対しては、経済界からも「社会全体で子育て世帯を支える考え方そのものには異論はない」との声が聞かれる。ただ、財源はもとより負担と給付をめぐる議論はこれから。小林代表幹事の発言からは、耳当たりのいい言葉に踊らされるのではなく、財政が危機的な状況にある日本の「不都合な真実」から目を背けるなという思いがにじむように感じる。

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