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自動運転GPUの雄、エヌビディア「AIを民主化する」

IoT事業統括部長インタビュー
自動運転GPUの雄、エヌビディア「AIを民主化する」

自動運転車向け AI 車載コンピューター(エヌビディア公式ページより)

 像処理に特化した演算装置のGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)の処理能力が人工知能(AI)や自動運転車、IoT(モノのインターネット)などに不可欠となっている。米エヌビディアはGPUで強い存在感を示し、最も注目される企業の一つ。同社が考えるIoTとはどんなものか、IoT事業統括部長を務めるムラーリ・ゴパラクリシュナ氏に聞いた。

 ―IoTとGPUの関係は。
 「かつてIoTという言葉は、あらゆるモノがインターネットにつながるという意味で使われていた。今はつながるのは当たり前で、つなげたことで得られるビッグデータをどう活用するか、ということがIoTという意味になった。通信やGPU、CPU(中央演算処理装置)などで構成したプラットフォーム(基盤)を活用してビッグデータから学習しインフルエンス(影響を及ぼす)する流れがIoTとなる」

 ―なぜGPUが重要なのでしょうか。
 「当社は10年前から膨大なデータを高速処理する世の中になると予測して、GPUで高速処理する開発環境『クーダ』の開発投資を続けてきた。継続が実った形だ」

 「GPUは同時並行で計算処理ができ高速のデータ処理に欠かせない。これまでは1ピクセルずつ一気に計算する特徴を生かして画像処理で活躍してきた。IoTでも力を発揮する」

 ―エヌビディアのGPUの強みは。
 「スーパーコンピューター、自動運転車、ロボット、AI技術のディープラーニング(深層学習)など幅広く利用されているが、全て同じ基盤で成り立っている。IoTの姿を見据えた取り組みが奏功している」

 「ソフトウエア開発キット(SDK)などGPUの利用に必要な多くのものをオープン化していることも特徴だ。だれでもデータさえあれば深層学習を手軽に使える。『AIを民主化』するのを我々の目標にしている」

 ―IoTの課題に対応していると聞きます。
 「膨大なデータをリアルタイムに近い200ミリ秒で決断するには通信がボトルネックになる。米国ではプライバシーの規制もあり情報管理も重要。中国やインドは通信設備自体が整備されているところ」

 「こうした課題に対応するには、エッジ(端末)側で情報を処理する技術が重要になる。深層学習もエッジ側で学習することが必須だ。当社の組み込みスパコン『ジェットソン』シリーズは継続的な研究開発で処理性能を上げている。特にソフトの進化が著しい」
ムラーリ・ゴパラクリシュナ氏

(聞き手=石橋弘彰)
日刊工業新聞2017年8月9日
石橋弘彰
石橋弘彰 Ishibashi Hiroaki 第一産業部
エヌビディアは自動運転関連では完成車メーカーなど225社とパートナー契約を結ぶ。AIやロボットでもほとんどの企業や研究機関が同社のGPUを使う。この独占的な状況はいつまで続くのか。エヌビディアのGPUを凌駕(りょうが)する存在は現れるのか。気になるところだ。

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