仲居さんが足りない!温泉旅館のあり方も曲がり角に

兵庫県の主要温泉地が働き手確保に情報発信

 兵庫県が観光産業を担う人材確保に工夫を凝らしている。訪日外国人(インバウンド)旅行者の増加とともに、日本ならではのサービス「おもてなし」を実践できる人材が求められる。それだけに有馬温泉や宝塚歌劇など全国有数の観光資源を有する県内旅館業者は、働き手の確保に悩む。県は旅館組合などと協力し、広報組織「旅館の魅力を伝え隊」を結成。仕事のやりがいや魅力を発信し、人材確保につなげる。(神戸・大原佑美子)

 少子高齢化が進み、兵庫県でも人口減少が深刻化している。定住者が減れば消費が落ち込み、地域経済の根幹に関わる。井戸敏三知事は対策の一つとして「観光などを通じた“交流人口”の増加」に力を入れる。地域の外から消費を支える人口を呼び込むには、観光産業の担い手が不可欠。働き手不足は県にとって大きな課題だ。

有名温泉も苦境


 7月、大阪市で開かれた合同企業説明会に県内10の旅館が集まって出展。延べ324人が来場した。出展した有馬温泉月光園(神戸市北区)は「来春入社予定の内定者から辞退が相次いだ」(大久保寿典総務課課長)。雇用環境は四十数年ぶりという売り手市場。同社は現状、派遣社員などで補充しているが「期限があり費用も高い。プロパー社員を育てたい」との思いは強い。

 この合同企業説明会に「旅館の魅力を伝え隊」のメンバーも、実際の制服姿で参加し学生を案内した。同隊は有馬温泉、淡路島洲本温泉、宝塚温泉など県内主要温泉地の旅館組合などから推薦された、旅館業に携わる5人の若手社員で結成。企業説明会などで学生に旅館業の魅力を伝えるほか、PR冊子や動画に出演する。

競争から連携へ


 淡路インターナショナルホテルザ・サンプラザ(洲本市)社長室室長兼広報担当の樫本三佳さんは、同隊員の一人。「顧客の記憶に残る仕事」にやりがいを感じている。業務を時間軸で説明し「楽しさややりがいを分かりやすく伝えたい」と意気込む。

 ホテルニューアワジ(同)の前田真一統括人事課課長は「観光を軸にして兵庫や旅館などを広く学生に知ってもらうきっかけが必要だった」と解説する。旅館単体で人員を取り合うといった競争よりも、「地域に根ざした産業」であることを訴求する取り組みに期待する。

 奥城崎シーサイドホテル(豊岡市)の森上光春支配人は「社員の定着率は良い」と前置きし、インバウンドなどで予約が増え「サービスの質を落とさないため」に増員が必要だという。ITを導入し業務を効率化する上でも若い人材が不可欠だ。

激務の印象拭う


 県は第二新卒や子育て後の仕事復帰を考える女性などを狙い、旅館の就労環境や現場を視察するバスツアー、インターンシップ(就業体験)を秋から来春に向け実施する。部屋食や客室係の手厚いサービスは日本の旅館ならでは。働き手には「大変」「不規則」などのイメージがついてまわる。そのイメージを払拭(ふっしょく)し、やりがいや楽しさを伝えられるかどうか。県と業界の模索が続く。

日刊工業新聞2017年8月10日

尾本 憲由

尾本 憲由
08月11日
この記事のファシリテーター

「温泉総選挙2016」で、兵庫県の城崎温泉がインバウンド部門で第1位。4年間で外国人観光客が30倍に増加したとか。一方、大勢連れ立って温泉に社員旅行なんていう時代はもはや遠くに過ぎ去った。働き手確保もたいへんだろうが、それ以上に新しい時代に対応した「おもてなし」を磨いていかなければならない、なんてことを思います。ただただ、カニの季節が待ち遠しいですが・・・。

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