東芝は半導体を売却するけど、ニッポンの装置メーカーは大活況

3次元NAND型メモリーがけん引

半導体製造装置業界が活況に沸いている。業界団体のSEMIが発表した2017年の市場予測は16年予測比9・3%増の434億ドルで、15年以降右肩上がりが続く。各社の受注も軒並み好調だ。業績を押し上げているのは、3次元(3D)構造のNAND型フラッシュメモリー向けの投資。加えてIoT(モノのインターネット)技術の普及に伴い、旧世代の装置の需要も増している。各社は成長市場に攻勢をかけている。

 「3Dはメモリー以外への広がりも期待できる。活発な投資は当面続くだろう」。SEMIジャパン(東京都千代田区)の中村修代表は明るい見通しを示す。半導体回路の微細化に限界が見えてきたが、一方で記憶素子を積層して容量を増やす3DNANDフラッシュメモリーの需要は拡大している。

 東京エレクトロンの堀哲朗取締役専務執行役員は「17年3月期のNAND向け受注額は、前期比2倍に成長する」と説明。アドバンテストの吉田芳明社長も「大容量化や高品質への要求が高まっており、17年度上期までは好況が見込める」とみる。

 NAND市場シェア2位の東芝が経営問題を抱えており、その動向が注視されるが「今のところ事業への影響は出ていない」(東京エレクトロンの堀取締役専務執行役員)という。

中古装置が枯渇、IoT需要の取り込みカギに


 加えて成長してきたのがIoT市場だ。直径200ミリメートルウエハーを加工する旧世代の半導体製造装置は、IoTに使うセンサーなどに利用される。現在は「中古装置が枯渇し、各社が何年ぶりかに新製品を投入し始めている」(中村代表)ほどだ。

 ただ旧式装置の投資額は100億円単位と、先端装置に比べれば10分の1以下の規模だ。そこで各社が狙うのが保守サービス事業の強化。新設需要に加え、すでに市場で稼働している装置も含め、サービスで継続的に稼ぐ考えだ。その成果は徐々に数字に表れてきた。

 東京エレクトロンの16年4―12月期のサービス事業売上高は、前年同期比7%増の1470億円になった。日立ハイテクノロジーズも主要顧客向けのサービス事業が好調に推移。

 アドバンテストは為替の円高の影響を受けながらも、17年3月期のサービス事業の売上高は前期と同等の290億円を見込む。SEMIジャパンの中村代表は「IoT市場は半導体メーカーだけでなく、エンドユーザーまで裾野が広がりつつある」と力を込める。

 足元の事業が好調なうちに、どれだけIoT市場で足場を築けるか。装置メーカーの共通課題となりそうだ。
(文=政年佐貴恵)
             

日刊工業新聞2017年2月28日

政年 佐貴惠

政年 佐貴惠
03月05日
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以前に比べれば市況の変動の激しさは減ったとは言え、このバブルの後には冷え込みが来る。さらに国策で半導体産業を育てようとしている中国でも、装置業界を育てようという動きもある。装置メーカーには先端分野を取り込むさらなる技術力の向上と、安定的に収益を得られる仕組みの両輪が必要になる。さらに先には中堅・中小メーカーを中心に再び再編の動きも出てきそうだ。

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