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知財紛争処理、技術専門家が裁判官に助言

特許庁が新制度
 特許庁は、特許権侵害など知的財産紛争処理における証拠収集手続きの実効性を確保するため、裁判所が選任した中立的な第三者の技術専門家が裁判官の判断を支援する新制度を導入する。営業秘密の保護に配慮しながら、非協力的な被疑侵害者に対して書類提出命令を発令しやすくなる。IoT(モノのインターネット)の浸透で製品に含まれる特許件数が飛躍的に増大する中、知財紛争処理プロセスの制度整備を進める。

 特許庁は産業構造審議会(経済産業相の諮問機関)知的財産分科会特許制度小委員会で示し、2018年の国会に提出する特許法改正案に盛り込む方針。特許法上の証拠収集手続きは民事訴訟法の特例として規定されているが、依然として不十分であるとの指摘が多かった。

 法改正により、製造方法特許など専門性が高く、立証が困難だった事案の査察を、技術に精通した第三者が同行できるようになる。さらに裁判官が証拠書類を法廷ではなく、裁判官室などで事前に非公開で確認した上で、正式に提出命令を出せるようにする。

 これらにより、裁判官は証拠の必要性を重視して書類の提出を命じるか、営業秘密の保護を重視して提出を命じないかの決定に際して、秘密保持をかける前提で判断できるようになる見通しだ。
日刊工業新聞2017年2月24日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
モノづくりとソフトの組み合わせによる特許は急増し、権利関係も多様化している。例えばデジタルカメラでは、1万件以上の関連特許が含まれるとされる。特許権を行使して巨額のライセンス料などを要求する「パテント・トロール」への対応も重要性を増しており、特許庁は制度整備を急がざるをえない。

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