「日本型金融排除」を突破へ!銀行の有望ベンチャー支援加速

三井住友銀行が「途上国のバーチャル農協」など10社選定

 三井住友銀行と日本総合研究所は13日、ベンチャー企業の有望な技術やビジネスアイデアの事業化を支援するプログラム「未来2017」の最終審査会を開き、支援企業10社を選んだ。途上国のバーチャル農協創設を提案したAGRIBUDDY(アグリバディ)などが受賞した。

 最終審査には27チームが登壇し、ロボット・人工知能(AI)やヘルスケアなどの事業計画を披露。同プログラムは、NECやトヨタ自動車、講談社などが新規事業やベンチャー創出を目的に運営するコンソーシアムによる取り組み。今大会には91チームが応募。表彰式で三井住友銀行の橘正喜副頭取は「日本に新しいイノベーションを生む契機になる」と受賞者をたたえた。

日刊工業新聞2017年2月14日



みずほは会員制で「狭くて深い」


 みずほ銀行が日産自動車、ファミリーマートなど大手企業と協力し、ベンチャー企業の成長を後押しする会員制サービスを始めた。提携する大企業の中には三菱重工業や三井不動産など系列を超えた企業も名を連ねる。大企業のネットワークを活用して販路拡大や商品開発を支援する狙いだが、日本を代表する企業がこぞって協力する背景には大企業側にも利点がある。

 「単線でない支援ができる。みずほのベンチャー支援の土台になる仕組み」。みずほ銀の担当者の鼻息は荒い。

 みずほ銀が始めた会員制サービス「エムズサロン」は大企業とのマッチングを通じて、新ビジネスの開発につなげられるほか、企業経営者やキャピタリストに相談相手となってもらい、助言を受けられる。会費は無料だ。本店の担当部署や支店網を生かし、年明け以降会員のベンチャー企業を増やしており、早期に500社程度まで増やす方針だ。

 銀行のベンチャー支援は、将来の融資先の拡大や成長に応じた支援に伴う手数料収入の確保が目的とされる。もちろん、みずほも有望企業の早期の囲い込みの狙いはあるが、担当者は「会員社数ありきでない。支援の質を重視する」と語る。1年ごとにみずほ銀が入会できる企業を招待する仕組みで、同行が将来性を定期的に見極める。

 特徴的なのは大企業側の業種や系列をこえた幅広い参画。現在53社が協力しているが、大企業側にも恩恵があるからだ。

 提携する大企業も新事業の発掘は課題になっており、特徴的な技術やビジネスモデルを持つ外部企業との接点を常に求めている。みずほ銀は複数の大企業を同時に集め大規模に開くのではなく、ベンチャー企業が特定の大企業を囲む形など「狭くて深い」ビジネスマッチングを開催予定で、ベンチャー、大企業双方にとってうま味がある体制を整える。

 とはいえ、ベンチャーと大企業との橋渡しは銀行にとって古くて新しいテーマだ。「形態を変えながらビジネスマッチングを開催するなどベンチャーを支援してきたが、最適解は見いだせていない」(競合の大手銀行幹部)。

 果たして、会員制という珍しい取り組みは、ベンチャーと大手企業の「化学融合」を起こし続ける新たな枠組みとなるのか。業界内外の関心は高い。
(文=栗下直也)

日刊工業新聞2017年2月9日


安東 泰志

安東 泰志
02月14日
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担保や保証がない企業には融資をしないという、「日本型金融排除」(金融庁)がある限り、ベンチャーは資金調達が難しい。銀行が率先して技術のある有望企業を支援する姿勢に転じることは素晴らしい。

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