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まもなく日米首脳会談、エコノミストはこう見る

みずほ証券・竹井氏、第一生命経済研究所・永浜氏
まもなく日米首脳会談、エコノミストはこう見る

昨年11月の会談(首相官邸公式ページより)

**「日米関係の重要性再確認を」
●みずほ証券・投資情報部シニアエコノミスト 竹井豊氏

 日米首脳会談のポイントは日米関係の重要性を再確認できるか、これに尽きる。先日のマティス国防長官の来日で安保関係面のすり合わせはできており、トランプ氏が日本の負担増を蒸し返す可能性は少ない。2016年11月に行われた、大統領就任前の会談に続き、日米の良好な関係をアピールすることが必要だ。

 市場の懸念である通商問題についても、米国側の閣僚の任命が完全には終わっておらず、話し合いを進める段階ではない。ただトランプ大統領が日米の貿易不均衡を訴え出すと問題だ。現在は80年代のような円安状況でもなく、日本にはすぐに対応する手段がない。市場がドル安・円高に振れてしまう可能性がある。

「政策に矛盾、先行き読めず」


●第一生命経済研究所・首席エコノミスト 永浜利広氏
 (貿易不均衡の指摘や日銀の円安誘導批判は)あくまでもポーズで、「最初に法外な要求をして実を取る」トランプ流の交渉術の可能性がある。

 自動車や円安をとっかかりに圧力をかけ、農産品の市場開放などに論点がずらされることもあり、そうした事態こそ、日本が恐れなくてはいけないことだろう。

 とはいえ、ふたを開けてみないと全くわからないというのが本音だ。トランプ大統領はドル高をけん制しているが、積極的なインフラ投資や保護主義を実行すれば2018年は今よりもドル高になっているのは間違いない。政策の矛盾を解消しないまま主張や批判を繰り広げているため、先行きは予見しづらい。
日刊工業新聞2017年2月10日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
日本はトランプ大統領が抱く日米貿易の誤解を解きつつ、米国の雇用拡大につながる経済協力などを提案する意向だ。日系自動車メーカーによる米国での現地生産比率の向上が米国雇用に寄与している点を説明。加えて米国でのインフラ投資やロボットやAIの共同研究なども提案し、米国の雇用創出に貢献する考えを伝える見通しだ。 日本は首脳会談に同行する麻生太郎副総理兼財務相と、政治経験が豊かなペンス米副大統領をトップとした経済協議の新たな枠組みの設置を提案する。この協議を足がかりにトランプ大統領の対日批判を少しでもかわすることができるか。首脳同士の信頼関係構築は重要だが、世界からの日本へのイメージも気になるところ。

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