電子部品大手、中国頼みが鮮明化。iPhoneの生産はどうなる?
4-12月期決算出そろう。スマホ業界に構造変化の波
電子部品5社の2016年4―12月期連結決算が31日までに出そろい、3社が営業増益となった。16年11月以降の円安が追い風となり、スマートフォン向けを中心に売り上げを伸ばした。米アップルのスマホ「iPhone」の生産減などが響いたが、中国向けの受注が拡大。営業増益のほか、業績予想の上方修正も相次いだ。特定顧客に依存しない収益体制の構築が奏功している。
16年4―9月期は円高に苦しめられたが、16年4―12月期は円安を受けて業績が回復。村田製作所を除く4社が17年3月期連結決算業績予想を上方修正した。
TDKは中国でスマホ向け二次電池の販売が2倍に伸びた。「生産数ベースでは2倍以上。電池を生産する工場もフル稼働の状態だ」(山西哲司執行役員)。また米クアルコムとの高周波事業を事実上譲渡することから、17年3月期に譲渡益約1490億円を計上する。
京セラは1月以降も水晶部品やパッケージ部品の事業が伸長。競争が激化している中、電子部品全体の17年3月期業績は前期と同様に高い水準になる見通し。17年度は「既存の大手だけでなく、中国スマホ向けも伸びる」(青木昭一取締役執行役員常務)としている。
減収、営業減益となった村田製作所もスマホ分野では、LTE端末向けの17年3月期売上高が前期比約19%増を予想する。藤田能孝副社長は「ほぼ計画通りに推移している」と説明。17年度以降は新事業・製品に期待を寄せる。またアルプス電気は触覚デバイスや仮想現実感(VR)向け製品が17年度以降に貢献するという。
日本電産は新事業の創出だけでなく「働き方改革」を推進する。「有力な人材の発掘をどうするか考える」(永守重信会長兼社長)と語る。
一方、懸念材料もある。トランプ米大統領が過度なドル高を牽(けん)制しているほか、米国での生産を重視する方針を打ち出している。為替への感応度が高い電子部品各社にとって悩ましい問題だ。
アルプス電気は「規制が厳しくなればメキシコ工場の生産を欧州の工場へ移管することも検討する」(気賀洋一郎取締役)と対応を模索している。
(文=渡辺光太、大阪・錦織承平、京都・園尾雅之)
16年4―9月期は円高に苦しめられたが、16年4―12月期は円安を受けて業績が回復。村田製作所を除く4社が17年3月期連結決算業績予想を上方修正した。
TDKは中国でスマホ向け二次電池の販売が2倍に伸びた。「生産数ベースでは2倍以上。電池を生産する工場もフル稼働の状態だ」(山西哲司執行役員)。また米クアルコムとの高周波事業を事実上譲渡することから、17年3月期に譲渡益約1490億円を計上する。
京セラは1月以降も水晶部品やパッケージ部品の事業が伸長。競争が激化している中、電子部品全体の17年3月期業績は前期と同様に高い水準になる見通し。17年度は「既存の大手だけでなく、中国スマホ向けも伸びる」(青木昭一取締役執行役員常務)としている。
減収、営業減益となった村田製作所もスマホ分野では、LTE端末向けの17年3月期売上高が前期比約19%増を予想する。藤田能孝副社長は「ほぼ計画通りに推移している」と説明。17年度以降は新事業・製品に期待を寄せる。またアルプス電気は触覚デバイスや仮想現実感(VR)向け製品が17年度以降に貢献するという。
日本電産は新事業の創出だけでなく「働き方改革」を推進する。「有力な人材の発掘をどうするか考える」(永守重信会長兼社長)と語る。
一方、懸念材料もある。トランプ米大統領が過度なドル高を牽(けん)制しているほか、米国での生産を重視する方針を打ち出している。為替への感応度が高い電子部品各社にとって悩ましい問題だ。
アルプス電気は「規制が厳しくなればメキシコ工場の生産を欧州の工場へ移管することも検討する」(気賀洋一郎取締役)と対応を模索している。
(文=渡辺光太、大阪・錦織承平、京都・園尾雅之)
日刊工業新聞2017年2月1日