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「きれいなトイレは観光資源」外国人観光客がTOTOの追い風に

喜多村円社長インタビュー
―2017年の事業環境をどう見ていますか。

「リフォーム市場は景気に左右される部分はあるが、将来的には必ず伸びていく。新築住宅を建てるのは多くの人の夢だが、予算などもあり、我慢している部分もある。残された『夢のワンピース』をはめる作業が、リフォームだ。需要の取り込みに引き続き力を注いでいく」

―市場を深耕するには何が必要でしょう。

「ショールームの来場者が驚くような商品をつくっていく。だだ、当社は商品を購入してもらってからが始まりだと考えている。購入から10年後、20年後にまた当社の商品が選ばれるよう、アフターサービスにも地道に取り組む」

―海外での需要掘り起こしも大切です。

「訪日外国人観光客の増加が追い風になっている。宿泊先で当社を知ったという声が増えた。使っていただければ、良さを理解して下さるという自負はある。きれいなトイレは観光資源の一つ。今後は地方のトイレもきれいになるよう、努力していきたい」

―5月に創立100周年を迎えます。

「サプライヤーや施工店など、当社を支えてくれたパートナーに感謝の意を表したい。『記念商品』は出さないつもりだ。創立99年目でも101年目でも、良い商品が開発できれば売る。お客さまは、いつでも安心して買ってほしい」

―18年3月期は9カ年の長期経営計画「Vプラン2017」の最終年度です。

「策定当初に比べて状況が大きく変わったため、当初の数値目標の達成にはこだわらない。事業は着実に進んでおり、利益もほぼ右肩上がりを維持している。衛生陶器も『ウォシュレット』もこのままだと、生産能力が足りなくなるほどだ。現在はベトナムで工場を建設中だが、引き続き国情や関税などを勘案しながら立地を考えていく」

TOTO社長・喜多村円氏

【記者の目/後継者育成を本格化】
 TOTOの歴代社長は創立者・大倉和親氏の「良品の供給、需要家の満足がつかむべき実体」との言葉にこもった思いを大事に受け継いできた。喜多村社長「(この思いを)心底理解できなければ次の社長は託せない」と強調。17年は後継者育成を本格化する。「悩むほど人材が豊富になってほしい」と、候補者を鍛える考えだ。
(文=斎藤正人)
日刊工業新聞2017年1月31日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
公共機関や公共施設では都心であっても整備が進んでいない部分が多くあります。 豪華でなくていいので、簡素できれいなトイレが増えてほしいです。

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