熟練技術の目視検査工程を“人工脳”で自動化

ソイン、通常のAIとは一線を画す。どんな雑多なデータでも覚えて賢くなる

 SOINN(ソイン、東京都小平市、長谷川修社長)は、独自の人工知能(AI)を使い熟練技術が必要な目視検査工程を自動化できるシステムを開発した。簡単なものならパソコン1台の設置で済み、既存のラインに導入しやすくノウハウが外に出ない。熟練の検査員があたかも新人に教えるように直接AIに技術を教え込み、視覚以外の情報も検査基準に盛り込める。幅広い分野へ提案する。

 ソインのAI「ソイン」を目視検査分野へ応用した。ソインにはパソコンによる問答形式でノウハウを教える。例えば外観の傷検査では、新人の教育と同様に傷の画像をみせて「これは〇〇等級」と教える。ある程度データを入れた後、実際にカメラとリンクし検査させる。ランク分けが難しい場合、ソインから「これは何等級でしょう」と熟練者に聞き、確認する。

 また、ソインが検査した際、どうしてその等級に分けたかの理由もソインが答えられる。重量や音声、気温、湿度のデータも入れれば検査品質が高まる。クラウドコンピューティングと連携すると海外など複数の拠点の検査工程と情報共有してさらに賢くなる。構築期間も2カ月程度と短い。長谷川社長は「人と一緒に作業し、人の負担を減らすという使い方も効果がある」としている。

 一般的なディープラーニング(深層学習)を使ったAIシステムは、AIエンジニアが熟練検査員から要点などを聞き、AIにプログラムで教え込む。そのためエンジニアが理解しきれない部分は教えられず、検査のノウハウも外部に出す必要がある。さらに、深層学習は判断の理由を人間が把握することができないケースが多い。

 ソインのシステムは複数の製造業の検査ラインで実際に使い、効果が出ているという。今後は製造業、物流、食品、インフラ点検、ビルメンテナンスなどの業種へ提案を進めていく。

日刊工業新聞2017年1月27日

石橋 弘彰

石橋 弘彰
01月27日
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 ソインのAIは「人工脳 ソイン」という名前で、他のAIと一線を画している。どんな雑多なデータでも覚えて賢くなるという優れものだ。深層学習はある程度、判断の正解をAIに教えることが必要になるが、人工脳は経験を通じてある程度勝手に学べるという。しかもパソコン程度の計算機で十分働く。AIを試しに使いたい場合にうってつけと言えるだろう。

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