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韓流ブームの終焉くっきり。関連ビジネス相次ぎ倒産!書籍、旅行、DVD販売など

帝国データバンク情報部の追跡レポート。エプコットは新規事業の投資回収できず不適切な会計処理も発覚
 2014年4月、東京・新大久保で人気の韓流ショップ「韓流百貨店」が民事再生法の適用を申請した。翌月には韓流ドラマ関連の書籍を出版していたTOKIMEKIパブリッシングが破産。13年には韓国ツアーを得意とする旅行業者のジャコアンドワールドも破産している。

 これらの企業は、いっときの韓流ブームに乗り業績を伸ばしたが、その終焉(えん)とともに売り上げが低迷。領土を巡る「竹島問題」など、日韓関係の悪化も一因となり倒産に追い込まれた。今年3月2日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けたエプコットもまた、そうした企業の1社だ。

 同社は85年12月に設立。オリジナルDVDの制作・販売・配給などを手がけていた。韓国ドラマにいち早く注目して04年から韓国ドラマのDVD販売を開始。民放BSでも放送された人気ドラマのDVDを制作し、韓流ブーム全盛の10年6月期に売上高約26億5400万円を計上した。

 韓流ブームを背景に順風満帆にみえた同社の経営環境が暗転したのは12年。この頃になると、大手企業も韓流ドラマDVD販売に参入するようになり、韓国ドラマの版権が急騰、その価格は約5倍程度にまで膨らんだという。加えて、日韓関係の悪化に伴い国内需要が減少したことでDVD部門は赤字に転落した。

 こうした状況を打破しようとゲーム制作事業に参入。ゲームは制作から完成、そして投資回収までかなりの期間を要し運転資金需要が増えた。一方、金融機関からの運転資金の調達は計画通りいかず、厳しい資金繰りが続いた。ゲーム制作も思うように進まず、投資回収もままならない状況で、さらに資金繰りが悪化する悪循環に陥った。

 今年に入って過去の不適切な会計処理が発覚、それを修正したことで事実上の債務超過に転落した。これにより、金融機関から協力を取り付けることが困難となった同社に、事業を継続する余力は残されていなかった。

 時流を的確に読んでブームに乗ったところまではよかったが、流行とは移ろいゆくもの。ブームが去った後、取引先は本当に生き残れるのか。気付いたころには手遅れになっていることも多い。
 
 <企業概要=(株)エプコット>
 住所:東京都渋谷区渋谷4の5の6
 代表:堀江 昭雄氏
 資本金:4500万円
 年売上高:約22億4800万円(2014年6月期)
 負債:約22億4700万円

 ※日刊工業新聞で毎週火曜日に「倒産学」を連載中
日刊工業新聞2015年05月26日 ひと&会社面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
サムスンも日本事業をかなりリストラした。ギャラクシーもどうなるか。韓国料理店が集積している東京・赤坂もお店の数が減ったような。人気店はそれなりだが、そうでないお店との格差が広がっている。

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