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エコノミストはトランプ会見をどうみたか

「政策期待に限界も」「選挙戦と変わらず」
エコノミストはトランプ会見をどうみたか

トランプ公式サイトより

**みずほ総合研究所欧米調査部長・安井明彦氏
 みずほ総合研究所欧米調査部長・安井明彦氏 良くも悪くも、新しい材料は会見で言及されなかった。米国経済を押し上げる減税・インフラ投資について具体的な内容が示されなかったほか、日本が懸念していた為替相場への目新しい言及もなかった。会見で強調されたのは、米国内の雇用重視を明確にしたこと。(米自動車メーカーなどの)企業への個別介入についても、自身の成果として高らかにうたっていた。

 今後は新政権が実際にスタートし、政策をどのように実現するかがポイントになる。米国工場を海外移転した場合の懲罰的な課税とは、どのようなものなのか。減税・インフラ投資の内容もよくみえていない。これまでの政策期待だけでは(市場は)もたなくなってくる。(談)

ニッセイ基礎研究所専務理事・櫨浩一氏


 ニッセイ基礎研究所専務理事・櫨(はじ)浩一氏 予想された通りの会見だった。米国の雇用を重視し、米国への輸出には高関税を課すという政策に誘導しようとしていた。実際に高関税を課すかは分からないが、企業に圧力をかけ、米国への投資と雇用創出を促す戦略といえる。

 為替相場には言及しなかったが、必ずしもドル高を容認したものではないだろう。トランプ氏の言動は、今のところ大統領選期間中と変わっていないように映る。

 2―3年のターム(期間)なら、企業に圧力をかけて国内投資を促し、米国経済は好転するだろう。しかし長い目でみると、最後は(巨額の財政赤字を抱える中で行った)1985年のプラザ合意のようなドル安リスクが高まる可能性がある。(談)
日刊工業新聞2017年1月13日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
そろそろ劇場型の手法に、メディアや市場、米国民も飽きてくるだろう。冷静にトランプ氏の言動を見始めるだろうし、トランプ個人では言われてほど米国は「チェンジ」しない、できない。あおるだけあおった劇場での予告編は終わった。本編を見終わった時に、続編がないことが分かるはず。

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