トランプ、きょう会見。日本に影響大「労働者を守る7つの計画」

議会、共和党の賛同は不透明

 トランプ米次期大統領は11日(日本時間12日未明)に大統領選後初の会見を開き、20日に新大統領に就任する。これまでツイッターを通じて一方的に情報発信してきたトランプ氏が、具体的な政策にどこまで踏み込むかを市場は注視する。大統領就任を前に、大統領選期間中に掲げた公約をあらためて概観する。

 トランプ米次期大統領は、米国を再び偉大にすることを掲げた「100日行動計画」を選挙期間中にまとめた。就任から100日で講じる政策を列挙した公約で、法的措置が不要な18の行動計画と議会成立が必要な10の法案から成る。

 18の行動計画のうち日本の産業界への影響が大きいのが「米国の労働者を守る7つの行動計画」。
(1)北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉あるいは離脱表明
(2)環太平洋連携協定(TPP)からの離脱表明
(3)中国を為替操作国に認定するよう財務長官に指示
(4)不当な貿易協定を特定
(5)雇用を創出する50兆ドル相当の米国エネルギー生産への規制撤廃
(6)オバマ政権で中断したキーストン・パイプライン(カナダ採掘の原油をテキサス州に運ぶパイプライン)計画の再
(7)国連の気候変動対策への資金拠出を停止し、米国インフラ整備に充当

―という内容だ。

(1)と(2)に象徴される保護主義路線は、すでに日本企業に少なからぬ影響を及ぼしつつある。トランプ氏は米フォード・モーターに続き、トヨタ自動車に対しても名指しでメキシコでの新工場建設を厳しく批判。計画を撤回しなければ高い関税を課す考えを示した。11日の会見や20日の大統領就任時に、自由貿易や足元のドル高基調にどこまで言及するかが当面の焦点になる。

(3)の中国問題については、みずほ総合研究所アジア調査部は「為替操作国認定の指示を出した場合、為替レートはいったん人民元高に振れる可能性がある。もっとも米中のファンダメンタルズを考慮すると、人民元の上昇は持続的なものにはなりにくい」と見通す。

 また10法案のうち、注目されるのが大規模減税・インフラ投資とオフショア禁止法案。法人税率を35%から15%に引き下げる減税や、10年間で1兆ドル規模のインフラ整備、税率が低い海外で生産した製品を米国に輸入する場合は新たに関税を課すなどの措置により、年4%の経済成長と2500万人の雇用創出を目指す。

 ただ、減税は「小さな政府」を志向する共和党の賛同を得られやすいとみられる一方、インフラ整備は「財政状況の大幅な悪化が見込まれる場合には、財政均衡を目指している議会・共和党の賛同を得ることは難しいだろう」(ニッセイ基礎研究所の窪谷浩主任研究員)との見方もある。

 就任後100日間、トランプ新大統領の言動を反映した市場動向になることだけは間違いなさそうだ。

日刊工業新聞2017年1月11日

安東 泰志

安東 泰志
01月11日
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今晩のトランプ氏の記者会見に向けて、良く整理された記事。保護主義的な政策スタンスの一方で大幅減税と財政拡張。従来の共和党の姿勢とは少し趣が異なるので、議会をすんなり通るかどうかはわからない。しかし、たとえば減税など小さな政府に繋がる、共和党として議会を通しやすい政策が通るだけでも日本へのインパクトは甚大だ。東京都としては、「国際金融都市・東京」構想で、東京金融特区にて法人減税を検討しているが、そんなことでは追いつかない。

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