「レノボとパソコン合弁、交渉大詰め」(富士通社長)

田中達也社長インタビュー「相乗効果が高まるような事業体を検討している」

 ―トップ就任から2年間にわたる事業構造改革の成果をどう見ていますか。
 「主力のテクノロジーソリューション事業にフォーカスして戦う体制へとビジネスモデルを変革してきた。半導体からスーパーコンピューターまで、すべてを扱う垂直統合型ではグローバル競争で限界があると判断したためだ。パソコン事業の分社などで一つの形は見えてきたが、収益性などを考えると、まだまだ2合目か、3合目あたりだ」

 ―パソコン事業は中国のレノボグループとの合弁が取り沙汰され、交渉は大詰めですね。2016年度内に決着できますか。
 「そういうスケジュール感で進めている。レノボとは互いの強みを認め合うことで、相乗効果が高まるような事業体を検討している。『できるだけ早く』と思うが、規制当局との手続きなどを踏まえると、(年度内に合意しても)実行できる時期は17年度中になるかもしれない」

 ―ニフティが手がける個人向けインターネット接続サービス(ISP)の売却交渉は。
 「ニフティを完全子会社化して社内に取り込んだ時点で、ISPは他社と協業する方向性で検討を進めている。交渉は相手先の都合もあり、具体的には言えないが、16年度内にめどをつけたい」

 ―17年度には「営業利益率5%以上」が射程に入ってきました。
 「ユビキタス事業の再編以外に、主力のシステム構築(SI)3社を統合したり、デジタルサービス部門を立ち上げたりと、いろいろ手を打ってきた。17年度は15、16年度の改革の結果としての収益も期待できる。収益面では目標とするゾーンに入ってきたが、5%はあくまで通過点。それを超えて成長するため、17年度は人工知能(AI)やセキュリティーに力を入れる」

 ―具体的には。
 「セキュリティーは司令塔を作り、全社横断で進める体制を築いた。セキュリティーの社内認定資格の取得者を19年度までに現行の1500人から1万人に拡充する。AIは18年度までに中核人材を現行の700人から1500人に倍増する」

 ―AIでどう強みを発揮するのですか。
 「AI研究は長い歴史があり、ようやく機が熟してきたといった感がある。AIについてはいろいろな見方があるが、個別の技術として存在するのではなく、我々の製品の中に自動的に埋まっていくイメージでとらえている。AIには得手不得手がある。社内実践でそこを見極めながら、地に足のついた形で進めていく。使いやすいAIが当社の強みだ」

日刊工業新聞2017年1月9日

日刊工業新聞 記者

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01月09日
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2年間にわたる事業構造改革により、17年度は営業利益率5%以上が見えてきた。ただ田中社長は「まだ通過点でしかない」と語る。目指すは営業利益率10%以上の“グローバルプレーヤー”だ。それを実現するための戦いはこれからが本番。17年度は海外経験豊かな田中社長の腕の見せどころだ。
(日刊工業新聞第一産業部・斎藤実)

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