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DeNA、ZMPと提携解消し日産に走る

自動運転車のビジネスで方針が食い
DeNA、ZMPと提携解消し日産に走る

左からDeNAの中島執行役員と谷口ZMP社長(15年5月)、日産・ゴーン社長

 ディー・エヌ・エー(DeNA)は6日、自動運転車技術に関するZMP(東京都文京区、谷口恵恒社長)との業務提携を解消する方針でZMPと合意したと発表した。両社は2015年5月に共同出資でロボットタクシーを設立、神奈川県内で自動運転車を使った実証実験などを進めていた。一方でDeNAは同日、日産自動車との自動運転車両に関する協業を発表している。

 DeNAによると、ZMPとの業務提携解消は16年末に話し合いが始まり、17年初に合意したばかり。ZMPはインターネットへの顧客情報流出問題を受け12月19日に予定していた東京証券取引所マザーズ市場への上場を延期したが、その問題とは関係ないとしている。ロボットタクシーの商標取り扱いや法人自体の存続については今後、両社で検討する。

 DeNAと日産は、17年内に日産製の自動運転車を使った技術的な実証実験を国内で始める。20年までに無人運転による交通サービスプラットフォームの構築に向けたビジネスモデルなどを検証する。

 関係者によると、DeNAは自動運転車を使ったタクシー配車サービスの構築を目指しており、車両にZMP以外の技術も活用したかったが、ZMPは1社提供にこだわったため、方針が食い違ったという。

日刊工業新聞電子版2017年1月6日



どうなる自治体の実証


幕張新都心を走行するロボットシャトル

 千葉市では自動運転技術の活用へ向けた取り組みも進む。パーソナルモビリティのような移動支援ロボット(歩行補助車)や無人・自動走行車の実用化に向け、公道を使った実証実験を進める。取り組みの中心となる幕張新都心(千葉市美浜区)では、2020年東京五輪・パラリンピックの一部競技開催も決まっており、近隣施設へのアクセス向上や障がい者らの交通手段として期待される。

 千葉市はパーソナルモビリティの無人運行を可能とする規制緩和により、乗り捨て後に車体を自動回収するシェアリングサービスを検討する。幕張新都心では施設間の回遊性が課題となっており、熊谷俊人千葉市長も「街の課題解決、活性化のために必要なサービス」と考える。

 サービスの早期実現に向け、千葉市は千葉工業大学と連携協定を締結。千葉工大の未来ロボット技術研究センター(fuRo、古田貴之所長)はこれまで、アイシン精機と共同開発した「ILY―A」や、自動で障害物を避けて目的地にたどり着く「全方位移動型電動車イス」など多くのロボットを発表してきた。

 ILY―Aは座席に座る、荷物を運ぶなど利用状況に応じて変形し、応用範囲も広い。今後、公道での実証実験を重ね、利用者の要望を満たす車体開発、サービス内容の検討を加速する。

 無人・自動走行車の実用化への取り組みも始まっている。DeNAがロボットベンチャーのZMP(東京都文京区)と共同で設立したロボットタクシー(東京都江東区)も千葉市で実証実験を計画する。

 ロボットタクシーが目指すのは「生活に根付いた自動運転サービス」。ドライバー支援ではなく、乗客を見据えた自動運転技術の確立を進める。DeNAは「市民に技術が理解され、実際の暮らしの中で必要とされるかが、今後の自動運転拡大のカギとなる」(広報)と指摘する。実証実験では一般客の参加にこだわり、社会受容性を探っていく。

 こうした特区での取り組みを受け、千葉市の特区事業以外にも幕張新都心を実験フィールドに選ぶ例も増えてきた。DeNAとイオンは8月、幕張新都心で自動運転バス「ロボットシャトル」の試験運行を実施した。

 イオンモール幕張新都心に隣接する豊砂公園内に設けた専用ルートを往復し、延べ1600人以上が乗車した。店舗来場者などの一般客を乗せる自動運転車の実験は国内初という。

 熊谷市長は「何か新しいことをするなら幕張新都心で、となれば」と話し、特区事業にとどまらず新たな可能性を追求する街を目指す。

日刊工業新聞2016年10月5日

明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
両社キズ持ちだが、ディー・エヌ・エーは日産と組むことでキュレーションメディア問題から生じた企業不信への「信用補完」をひとまず担保した形。ただ日産側に提携のメリットをあまり感じないのだが・・。手っ取り早くディー・エヌ・エーはIT人材を確保できる。この件は続報があればまた追加します。

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