快適な夜行バスの旅、ひみつは「独自設計の座席」

ウィラー・エクスプレス・ジャパン、20―30代女性の需要を開拓

 高速バス会社のウィラー・エクスプレス・ジャパン(大阪市北区、平山幸司社長、06・6123・7252)は、運行するバスに独自設計の座席シートを採用している。持ち株会社ウィラー・アライアンス(東京都新宿区)の池あい子執行役員は、開発のまとめ役として「夜行バスを利用したことのない層に乗ってもらえるようにする」と開発の意義を話す。

 従来、夜行バスの主な利用者は男性会社員だったが、多様なシートを用意することで20―30代の若い女性の需要を開拓できている。低価格で移動できるだけでなく、「快適な移動手段として高速バスが選ばれるようになっている」(池執行役員)と手応えを感じる。現在、ウィラー・エクスプレスのバスシートは全17種にも上る。

 2016年秋から導入した「ラクシア」では、リビングルームのソファをイメージし、ゆったり過ごせる設計とした。背中部分は柔らかく包み込むようにし、腰部分は厚めのクッションで支えるような構造にした。座面も内部構造物への接触感(底付き感)を防止するため、柔らかく厚めのクッションで支える。

 池執行役員は「定員と快適さの両軸を考える」ことをシート設計で重視。バスという限られた空間で快適さを追求する一方、輸送効率を考える必要がある。シート形状に加え、配列も工夫。リクライニングやフットレストなどボタン操作のしやすさにも配慮する。最前列と中間列、後列それぞれでの安全性も確保しなければならない。

 シート本体の形状ではシートメーカー、配列ではバスメーカーの協力を仰ぐ。例えば、睡眠中のプライバシーに配慮した「コクーン」は全座席に仕切りを設けたブース型で、シートを斜めに配置。ラクシアにも搭載した、座面も傾き自然な体勢で眠りやすい「電動ゆりかごリクライニング」も採用している。

 量産型シートを設置したバスとは全く違う重心の条件でも安全性を確保し、快適性と両立している。条件が複雑なため、1種類のシートの完成まで約2年かかるが、「バス内で疲れにくい設計をすることで満足度を高めたい」(池執行役員)と妥協はない。
(文=大阪・安藤光恵)

日刊工業新聞2017年1月6日

昆 梓紗

昆 梓紗
01月06日
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2016年に軽井沢で発生した高速バス事故から間もなく一年。快適さと同時に安全性をより強く求められるようになりました。

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