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キッコーマンが食品で培った洗浄度検査機を医療へ

汚れ測定・院内感染防ぐ
 キッコーマンは洗浄度検査機器「ルミテスター」を医療分野に展開する。内視鏡など医療器具の使用後の洗浄が適切かを判断でき、洗浄不良による院内感染を防ぐ。専門の販売組織を設け、米国で開催する医療機関向け展示会にも初出展し、国内外で訴求を強める。同キットの医療分野向け売上高を2017年度には前年度比2倍に引き上げる。

 子会社のキッコーマンバイオケミファ(東京都港区)を通じて販売する。医療機関に提案する専門の販売チームを設けたほか、17年6月に米国で開催する「米国感染管理疫学専門家協会(APIC)」の展示会に初出展し、医療機関への提案を本格的に始める。

 同製品は蛍の発光反応を利用した独自技術で、汚れの指標である「アデノシン三リン酸(ATP)」「アデノシン一リン酸(AMP)」を測定。見えない汚れや目視で確認が難しい部分の洗浄が適正かを判断できる。内視鏡や鋼製小物などの検査対象を綿棒で拭き取り、試薬と反応させて測定する。測定時間は10秒。誰でも迅速・簡便に洗浄度を確認でき、洗浄業務の改善や意識啓発・教育などに生かせる。

 ルミテスターは93年に発売し、国内食品工場向けの拭き取り検査機器では8割程度のシェアを占める。グループの医療機関などで使用実績があり、効果が高いことから医療分野に展開する。価格は測定器が9万9800円、検査キット(100回分)が2万4000円(消費税抜き)。

日刊工業新聞2016年12月20日
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
医療器具は血液、体液などが付着するため厳密な滅菌処理が求められている。だがそのマニュアルがしっかりと守られていないために大規模な院内感染に発展する、というケースも十分想定される。目視で判断できない清浄度を測るために、こうした技術が求められる。

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