「未完の大器」ペロブスカイト太陽電池はどこまで進化するか

100度C2600時間の耐久性、兵庫県立大が実証

 兵庫県立大学大学院工学研究科の伊藤省吾准教授らの研究グループは22日、次世代太陽電池のペロブスカイト太陽電池で初めて100度Cで2600時間の耐久性を確認したと発表した。既存の製品構造から電極材料などを変えて電池を試作した。課題だった耐久性を大幅に改善したことにより、実用化に弾みが付く。5年後の実用化を目指す。独科学誌「ケムサスケム」で発表した。

 ペロブスカイト太陽電池の構造で、電極材料を従来の金からカーボンに変更し、封止材を塗る場所を従来の上から横に変えるなどで耐久性を高めた。これまではスイスの研究者が公表する、85度Cで約500時間の耐久性が最高だった。

 今回試験した同電池の変換効率は5%。伊藤准教授は「ペロブスカイト層の改良などで、実用レベルの20%台に引き上げるめども立った」という。

 ペロブスカイト太陽電池は、製造に印刷技術を用いて真空プロセスが不要なため、シリコン太陽電池に比べ生産コストが低い。

日刊工業新聞2016年12月23日

明 豊

明 豊
12月24日
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一般的なペロブスカイト太陽電池は、暗所でも劣化が進み、200時間で約3割も変換効率が低下する。そのため、安定性の低さの原因究明と新規材料開発による安定性の向上が実用化への課題だ。先日、物質・材料研究機構エネルギー・環境材料研究拠点の韓礼元(ハンリュアン)上席研究員らが、次世代太陽電池であるペロブスカイト太陽電池のホール輸送層に使う新規添加剤を開発。暗所で1000時間保存しても性能が劣化しなかったという。
ペロブスカイト太陽電池はデビュー前でありながら、従来の太陽電池を変えるような研究成果が次々に公表されている。まさに「未完の大器」だ。例えば軽さを生かし、ビル壁面に貼り付ける太陽電池をつくれる。フィルムのような柔らかい基板にも塗布できるので曲げ伸ばし可能な太陽電池を製作して曲面にも取り付けができる。窓を太陽電池にすることも可能だ。日本生まれの新しい太陽電池に期待。

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