再開発地域を歩くと緑のつくり方に意外な発見あり

虎ノ門ヒルズにシジュウカラやメジロなど多くの鳥の飛来を確認

 2014年に完成した虎ノ門ヒルズ(東京都港区)。地上52階建て、高さ247メートルの超高層複合タワーは東京の新しいシンボルとなっている。「都市の緑」という面でも注目されている場所だ。

 地下には東京五輪に向けて整備が進む環状2号線が走り、地上は丘となっている。そこには緑地が広がり、樹木が葉を茂らせている。

 開発した森ビルが、都の資料を参考に地域に生息していた種を選んで植えた。小川も作り、江戸時代にあった桜川を再現した。シジュウカラやメジロなど、多くの鳥の飛来が確認されている。

 鳥は緑の“質”を測る指標となっている。鳥のエサとなる昆虫がいて、その昆虫が繁殖する草木があり、生物多様性が保たれている証となるからだ。虎ノ門タワーは、日本生態系協会が生き物の住みやすさを基準として認定する「JHEP」で、最高評価の「AAA」を取得した。

 森ビルは70年代、小規模ながら敷地の緑化を開始。転機が86年竣工のアークヒルズ(東京・赤坂)だ。建物を高層化したことで、敷地に生まれた空間を大規模な緑地にできる。

 この手法を同社は「バーティカルガーデンシティ(立体緑園都市)」と呼び、以後の開発事業に採用していく。環境推進室の武田正浩課長は「都市環境を良くする一つの解」と説明する。

 90年―2000年代は質へのこだわりを強める。08年にドイツで開かれた生物多様性条約第9回締約国会議(COP9)への参加をきっかけに「楽しむ緑と、生物多様性の緑の融合」(武田課長)に取り組み始める。

 12年竣工のアークヒルズ仙石山森タワー(東京・六本木)は、近隣の緑地から鳥や昆虫を呼び込むためにあえて枯れ木も配置。JHEPで初の「AAA」を取得した。

 ただし「竣工後の維持が大切」(同)と話す。アークヒルズは樹木が成長し、完成時から緑被率が倍に広がった。他の事業も完成後、年々、緑が豊かとなり、生き物も増えた。

 次の開発も動き出している。虎ノ門ヒルズは都が「環境軸」と呼ぶ環状2号線、芝公園と日比谷公園を結ぶ区道の交差点に位置する。その周辺で開発中のビジネスセンターや集合住宅にも質の高い緑をつくる。

 生き物が行き来する空間は生態系ネットワークと呼ばれる。森ビルは港区で集中的に開発し、街のネットワークづくりに大きく貢献できる。東京五輪が開かれる20年、都心の緑も東京の象徴となりそうだ。武田課長は「都心のランドスケープとしてトップランナーでありたい」と話す。
(文=松木喬)

日刊工業新聞2016年12月20日

松木 喬

松木 喬
12月21日
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ビルを超高層化するのは、敷地に空きスペースを作るためでした。気づきませんでした。虎ノ門ヒルズが丘になっている形状にも理由がありました。再開発地域を歩くと、緑のつくり方に意外な発見がありそうです。

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