自分で薬を買えば所得控除!来年1月から、セルフメディケーション税制始動

 OTC医薬品(一般薬)を一定額以上購入した場合に所得控除をする「セルフメディケーション税制」の運用が2017年1月から始まる。生活者が自身の健康に責任を持って軽度な体の不調は自ら手当てをするセルフメディケーションの浸透につながり、医療費も抑制できるとの期待がある。ただ現状では対象の一般薬が限られており、新税制に関する消費者の認知度も高くはない。制度の実効性向上に向けた努力が試される。

医療費削減


 一般薬を購入した世帯に対する所得控除制度の創設は、医療費削減や疾病の早期治療につながり得るとして日本OTC医薬品協会(OTC薬協)などが以前から訴えてきた。国もこれを認め、16年度税制改正大綱にセルフメディケーション税制が盛り込まれた。

 17年1月からは、医療用医薬品の成分を転用したスイッチOTC薬の購入額が年間1万2000円を超える場合、8万8000円を限度に所得控除される。

 具体例として所得税率20%の申告者が対象製品を年間2万円購入した場合、下限額の1万2000円を引いた8000円が課税所得から控除される。これに20%をかけた1600円が戻ってくるとの計算になる。加えて、住民税も軽減される。

 現状では同税制の認知度はいま一歩だ。インテージホールディングス傘下で医療・ヘルスケア領域の市場調査を手がけるアンテリオ(東京都千代田区)によると、16年11月時点で同税制を認知している人の割合は25%にとどまった。

 ただ、調査を担当した小森谷祥明リサーチディレクターは「思ったよりも認知度が高かった」との見解を示している。税制の運用開始前であることを考えると、伸びしろもありそうだ。

生活者目線でみると・・


 業界団体やメーカーは広報活動を進めつつある。日本一般用医薬品連合会(一般薬連)は16年6月、新税制対象製品の共通識別マークを定めた。同マークは各メーカーの製品の外装などに示される見通しで、購入検討者が一目で理解できる効果が期待される。だが、このマークを見たことがある人はアンテリオ調べでは5%にすぎず、浸透が急がれる。

 一般薬連の三輪芳弘会長(興和社長)は、「新税制の対象範囲はスイッチOTCだけに限定されており、生活者目線で見ると疑問だ。今後は安全性の高い一般薬(全般)にまで拡大できるよう、関係団体と連携したい」としている。

 ただ、医療機関からすると受診患者数の減少につながる可能性もあり、調整は容易ではない。

 厚生労働省医政局経済課の阿部幸生課長補佐は対象範囲拡大の議論が出てくるとの展望を示し、「私自身もそうするべきだと思う」と指摘。その上で「小さく産んで大きく育てるために、まずは(新税制の)周知が大事」と述べた。

 一般薬メーカーが17年にどれだけ速い出足をみせられるか、注目される。
(文=斎藤弘和)

日刊工業新聞2016年12月8日

昆 梓紗

昆 梓紗
12月08日
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新税制の周知もありますが、自分で薬を選ぶのが難しい高齢者などへのケアが必要になってくるかと思います。

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