三菱自、新車投入の時期に影響も。国交省の審査が厳格化

<追記あり>従来の投入予定計画と比べ「2カ月程度遅れる」

 三菱自動車は新車や一部改良車の発売時期でも燃費不正問題の影響を受けることになりそうだ。軽自動車を一部改良して12月以降に投入する予定だが、量産車の販売に必要な国土交通省の型式指定審査が厳格化されているという。審査は国の試験機関の混雑状況にも左右され、2017年度以降に予定する新車の投入時期の遅れも懸念される。新型車の投入で販売のテコ入れを図るが、不透明な発売時期が販売回復の道筋にも影響を与えそうだ。

 「ペナルティーで国交省の審査は厳しくなっている」。三菱自の幹部は燃費不正発覚以降、審査の厳しさを実感する。同社は軽「eK」シリーズの内外装を見直すなど一部を改良して12月以降の投入を予定する。

 従来は年式変更のような一部改良の場合、過去の試験データの流用が認められたケースが、少しの変更でも試験が必要になっているという。

 「審査がどの程度延びるかは試験場の混み具合による」。同幹部は審査期間についても国交省所管の独立行政法人「自動車技術総合機構」の試験設備の使用状況に左右されるとの見方を示す。

 国交省は6月、三菱自とスズキの燃費不正を受け、今後3年間の審査の厳格化を表明。9月には不正防止策をまとめ、審査方法を見直した。

 同省によると不正をした自動車メーカーは今後、新型車の審査を受ける場合、原則、自動車技術総合機構での試験が必要になる。そのため審査や期間は「機構の試験設備の利用スケジュールの影響を受ける」(国交省担当者)。

 一方、不正をしていない車メーカーは、同機構の担当者の立ち会いのもと自社の試験設備での試験も可能だという。

今日から「軽」の生産ライン2直化


 三菱自は17年度以降に新型スポーツ多目的車(SUV)などの投入を予定する。新車の投入で販売を早期に底上げしたいところだが、発売時期が遅れる可能性がある。

 また別の三菱自幹部は年式変更車では従来の投入予定計画と比べ「2カ月程度遅れる」との見通しも示している。

 三菱自の4―10月の国内販売台数は前年同期比32・8%減の3万5401台と低迷する。一方、水島製作所(岡山県倉敷市)では28日から軽を生産するラインの夜間操業を再開し、不正発覚前の2直体制に戻す。

 また、12月以降の一部改良車の投入で販売を下支えし、工場の稼働率を引き上げる意向だ。今後も新型車の投入時期が試験設備の使用状況という不確定要素に左右されるなど厳しい経営環境が続く。失った信頼の回復には、開発、生産、販売の連携を強化して効率化するなど、全社一丸となった取り組みがより一層求められそうだ。
(文=西沢亮)

日刊工業新聞2016年11月28日

中西 孝樹

中西 孝樹
11月29日
この記事のファシリテーター

記事には、再発防止の為のタスクフォースで決まった審査の厳格化の具体的な事例が示されている。不正発覚企業へ厳しく対処することで再発を抑制する意義はある。その効果を認めた上で、今後の国土交通省の型式認定に伴う検査方法の見直しの論議も高めて行くべきだと考える。25年も前の審査方法から技術進化に即した柔軟性が欠けていたことも、不正企業の抜け道を生み出した背景にあると考えている。

この記事にコメントする

明 豊
明 豊
11月29日
当然の措置。それらも含めて日産傘下に入って抜本的に開発体制や社内倫理を見直すことにしたはず。2カ月程度の遅れを一喜一憂せず腰を据えてクルマづくりに取り組んでもらいたい。
  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。