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スマホで議事録を自動作成、誰が何を話したかまで特定

情報学研と筑波大が音声処理技術。音楽やセキュリティーでの活用も
 国立情報学研究所の小野順貴准教授と筑波大学の牧野昭二教授らは、複数のスマートフォンをマイクロホンアレイとして使う音声処理技術を開発した。会議をスマホで収録するだけで誰が何を話したか特定でき、議事録を自動作成できるようになる。3年程度での実用化を目指す。

 会議など複数の声が混じったデータから話し手を特定するには、マイクロホンアレイで収録する必要があった。話し手からマイクに音が到達するまでの0・1ミリ秒以下の時間差から、音源の方向を推定するために複数のマイクを厳密に同期する。同期できないと話し手が移動しているように判定されてしまう。

 そこで収録音声データで話し手が動かないように調整する信号処理技術を開発した。複数のスマホをマイクロホンアレイとして使える。会議の議事録作成や音楽の収録編集システムなどに提案する。

日刊工業新聞2016年10月4日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
スマホやパソコンを持ち寄って会話を記録すると、議事録ができ上がるシステムを目指しています。現在は話し手があまり動かない会議をターゲットにしていますが、コンサートやスタジアムなどの大規模イベントの同時多点収録も開発ターゲットに挙がっています。観戦だけでなく、セキュリティーなどにも応用が広がりそうです。もっと早く実用化しそうなのが、スタジオ収録です。プロはちゃんとしたスタジオでバンドの楽器ごとに収録して、編集して合成します。ですがアマチュアにはそんなお金はありません。スマホで収録、音源を分離して楽器ごとに編集、合成できると、一発で合わせなくても良くなります。 (日刊工業新聞科学技術部・小寺貴之)

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