ロボットが「Yahoo!天気」を話すヤフーの連携戦略とは
「マイシングス」より使いやすく。オムロンやソニーなども新サービス
企業などが自社のIoT(モノのインターネット)製品と、天気予報などウェブサービスを自由に連携させて新たなサービスを生み出せるヤフーのウェブシステム「マイシングス」が注目を集めている。オムロンやソニーグループが同システムを活用し、自社製品とウェブサービスを連携する検討を始めた。IoT製品は2020年に国内で300億台に拡大するとされる。ヤフーはIoTを通じてウェブサービスが使われる基盤を整え、自社サービスの利用拡大を狙う。
「今日の横浜の天気は曇りのち晴れだよ」―。ユカイ工学(東京都新宿区)のロボット「BOCCO(ボッコ)」が天気予報を発話する。マイシングスを使い「Yahoo!天気」と連携することで新たに付加できるサービスだ。
マイシングスはウェブサービスやIoT製品を応用プログラムインターフェース(API)経由で連携する。15年7月からスマートフォン用アプリケーション(応用ソフト)を無償で配信しており、企業や個人はマイシングス上でAPIが公開されている40種類以上のサービスなどを組み合わせてサービスを作れる。「ボッコ」と「Yahoo!天気予報」の連携のほか「Yahoo!防災速報」と「メール」を連携し、地震情報が出たら家族に安否確認メールを送るなどの形で使われている。
ただ、連携の設定には作業の手間があり、利用者を増やす上で課題だった。そこでヤフーは9月、マイシングスを使ったサービスを事業者が自社製品にあらかじめ導入できるウェブシステムの提供を始めた。この活用を検討するのがオムロンとソニーモバイルコミュニケーションズ(東京都品川区)だ。
オムロンはペットなどを見守るカメラセンサー「ヒューマンビジョンコンポ家族目線(HVC)」で活用する予定。「防災情報と連携したサービスの導入により、HVCの利用者の裾野を広げたい」(オムロン)と意気込む。
一方、ソニーモバイルは壁などに映し出したスクリーンを触って操作できるプロジェクター「Xperia Projector」での活用を検討する。「(マイシングスの活用により)製品価値を向上させるサービスを構築できる可能性がある」(ソニーモバイル)と期待しており、EC(電子商取引)分野でのサービス構築を模索し開発を進めている。
現在の事業者向けシステムは無償の試験版となっており、ヤフーは17年春に正式版を公開する予定。スマートデバイス推進本部の中村浩樹myThingsサービスマネージャーは「(正式版の提供に向けて)マイシングス上にAPIを公開するパートナーを増やしていきたい」と力を込める。
マイシングスが多くの利用者を獲得するには、より多くのサービスなどと連携できる体制の構築が肝要。今後の連携の拡大動向が注目される。
(文=葭本隆太)
「今日の横浜の天気は曇りのち晴れだよ」―。ユカイ工学(東京都新宿区)のロボット「BOCCO(ボッコ)」が天気予報を発話する。マイシングスを使い「Yahoo!天気」と連携することで新たに付加できるサービスだ。
マイシングスはウェブサービスやIoT製品を応用プログラムインターフェース(API)経由で連携する。15年7月からスマートフォン用アプリケーション(応用ソフト)を無償で配信しており、企業や個人はマイシングス上でAPIが公開されている40種類以上のサービスなどを組み合わせてサービスを作れる。「ボッコ」と「Yahoo!天気予報」の連携のほか「Yahoo!防災速報」と「メール」を連携し、地震情報が出たら家族に安否確認メールを送るなどの形で使われている。
ただ、連携の設定には作業の手間があり、利用者を増やす上で課題だった。そこでヤフーは9月、マイシングスを使ったサービスを事業者が自社製品にあらかじめ導入できるウェブシステムの提供を始めた。この活用を検討するのがオムロンとソニーモバイルコミュニケーションズ(東京都品川区)だ。
オムロンはペットなどを見守るカメラセンサー「ヒューマンビジョンコンポ家族目線(HVC)」で活用する予定。「防災情報と連携したサービスの導入により、HVCの利用者の裾野を広げたい」(オムロン)と意気込む。
一方、ソニーモバイルは壁などに映し出したスクリーンを触って操作できるプロジェクター「Xperia Projector」での活用を検討する。「(マイシングスの活用により)製品価値を向上させるサービスを構築できる可能性がある」(ソニーモバイル)と期待しており、EC(電子商取引)分野でのサービス構築を模索し開発を進めている。
現在の事業者向けシステムは無償の試験版となっており、ヤフーは17年春に正式版を公開する予定。スマートデバイス推進本部の中村浩樹myThingsサービスマネージャーは「(正式版の提供に向けて)マイシングス上にAPIを公開するパートナーを増やしていきたい」と力を込める。
マイシングスが多くの利用者を獲得するには、より多くのサービスなどと連携できる体制の構築が肝要。今後の連携の拡大動向が注目される。
(文=葭本隆太)
日刊工業新聞2016年9月28日