半導体テストもクラウド時代に。アドバンテストが月10万円から80種試験

「ニーズは生産現場だけではなくなっている」

 アドバンテストは大がかりな設備で行っていた半導体テストを、クラウドを活用することで卓上で簡単にできるようにした。従来は半導体工場が主な顧客だったが、クラウドサービスにより電子デバイスメーカーの設計開発現場など、顧客の裾野を広げている。

 クラウド半導体テストサービスを手がけるのは、2012年に設立した子会社のクラウド・テスティング・サービス(東京都千代田区、木村学社長)だ。木村社長は「IoT(モノのインターネット)の普及で、半導体テストのニーズは生産現場だけではなくなっている」との見方を示す。事実、家電や電子デバイスメーカーなど、従来とは異なる顧客の利用が多くなっているという。

 同サービスは無償貸与する小型測定機に、クラウド上で提供するテスト用ソフトウエアを組み合わせて利用する。半導体チップの設計から評価、計測まで一通りの試験メニューが約80種類そろう。ユーザーは自分の目的に合わせてカスタマイズできるのが特徴だ。

 一般的な大型テスト装置は1台数千万―数億円。対して同サービスは月額10万―20万円の基本料金に、各ソフトの料金を加えた価格で利用できる。手軽さもありユーザー数は年率2倍で増え、会員数は600社になった。「企画から開発、調達、完成品まで全ての段階でチップの品質担保が必要になってきている」(木村社長)。

 重視しているのがサポート体制だ。顧客との接点が多いクラウドサービスでは「顧客満足(CS)を高めなければビジネスが続かない」(同)。ホームページ上でチャットや掲示板を展開し顧客の意見を吸い上げ、常に製品に反映する仕組みを構築した。

 多い時には月2―3回バージョンアップするという。また月1―2回の無料セミナーなどを実施。これらが奏功し、リピート率は90%と高い水準を維持している。

 今後は計測で得られたデータを活用できるソフトをさらに拡充する方針だ。「自らをIoT化する」(同)ことで利便性を高め、顧客の裾野をより広げる。木村社長は「ユーザーと我々だけでなく、その先のエンドユーザーまでメリットを得られる仕組みをつくり上げたい」と意気込む。
(文=政年佐貴恵)

日刊工業新聞2016年9月23日

政年 佐貴惠

政年 佐貴惠
09月25日
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同サービスは検査装置市場の成熟を受け、次のビジネスモデルとして生まれた。IoTの普及で知見がない技術者にも半導体設計開発ニーズが高まる中、例えばルネサスも初心者が開発しやすいプラットフォームの提供を始めるなど、新市場を捉えようとする動きは活発になりつつある。新しいビジネスは今後も増えていきそうだ。

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