クラレと住商、タイに高機能樹脂の新工場を検討

自動車向けなどに拡大狙い

 クラレと住友商事、タイの石油化学最大手のPTTグローバルケミカルは13日、タイにブタジエン誘導品の新工場を建設する検討に入ったと発表した。投資額は数百億円で、2020年にエンジニアリング樹脂などの生産開始を計画。クラレの製造技術と住友の営業販売網にPTTの原料安定供給力を加えることで、自動車や電機向けに競争力の高い石化製品を供給する狙いがある。17年後半に最終投資判断を下す予定。

 新工場はタイ中部のラヨン県マプタプットの石化コンビナート内で20年に稼働する計画だ。投資額や合弁事業の出資比率など詳細は今後詰めるが、クラレが過半を出資する。製造品目は高耐熱性ポリアミド樹脂が年産能力1万3000トン、日用品に使う合成ゴムの水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが同1万6000トンになる。原料はPTTから調達する。

 また、クラレは同じ敷地内にイソブチレン誘導品の工場建設も検討する。同社単独で、同5000トンの予定。他工場と同時期の稼働を目標にして事業化調査を進める。

 3社は15年からタイでのブタジエン誘導品での協業を模索していた。ブタジエン誘導品工場の基本設計を含む詳細検討に着手することで同日合意した。

2020年に高機能ポリアミド樹脂を2倍に


日刊工業新聞2015年8月26日


 クラレは25日、2020年ごろに高機能ポリアミド樹脂「ジェネスタ」の販売量がコンパウンド(混練)ベースで現行比約2倍の年2万―3万トンに拡大する見通しを明らかにした。耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性といった特性を生かし、内外で自動車向けの採用が増える見込み。今後、国内2拠点で生産している原料の不足を想定し、欧米を中心に海外工場の新設に向けてフィジビリティースタディー(FS)を始めた。

 同日、ジェネスタがトヨタ自動車の燃料電池車「ミライ」に採用されたと発表した。「スタックマニホールド」と呼ばれる燃料電池スタックの配管部品に使われ、同部品の軽量・薄型化に寄与した。

 ジェネスタは現状、電子・電気や発光ダイオード(LED)の用途が中心で、自動車向けの割合は全体の1割程度。クラレは日本、中国、シンガポール、米国、ブラジル、ベルギーの既存拠点にジェネスタの担当者を置いており、自動車向けを重点的に強化する。

日刊工業新聞2016年9月14日

米山 昌宏

米山 昌宏
09月15日
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クラレは「せプトン」、「ハイブラー」という2種類のHSBCを、日本(能力23千トン/年)及び米国(18千トン)で生産している。今後HSBCの伸びが期待できるアジア地区でプラントを持つことは、戦略的に重要である。PA9T(生産能力13 千トン/年)は、クラレが原料モノマーから開発した高耐熱性ポリアミド樹脂で「ジェネスタ」という商品名で販売されている。PA9Tは、世界で唯一クラレが生産しており、日本で13千トン/年の生産能力を持っている。電気・電子用、自動車用、LED用での伸びが期待され、やはりアジアでの需要の伸びが大きい樹脂である。イソブチレン誘導品のMPDはウレタン樹脂の原料として使用され、耐水性・柔軟性・耐熱性・接着性に優れている。

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