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デンソーが富士通テンを子会社化。自動運転でトヨタグループの再編始まる

デンソーが富士通テンを子会社化。自動運転でトヨタグループの再編始まる

デンソーが昨年の東京モーターショーで公開した次世代コックピット

 デンソーは9日、富士通テンの出資比率を現在の10%から51%に引き上げ子会社化することで現親会社の富士通、第2位の株主のトヨタ自動車との間で基本合意したと発表した。2016年度内をめどに最終的な契約を締結する。自動車向けICT(情報通信技術)関連製品を手がける富士通テンと関係を深め、先進運転支援システム(ADAS)・自動運転技術の開発を強化する。

 出資比率は富士通が55%から14%に下がり、トヨタは35%のままとなる。富士通テンはカーナビゲーションのほか車載ECUやミリ波レーダーなどを手がける。子会社化によりADAS・自動運転技術や電子基盤技術の開発スピードを上げる。

 デンソーとトヨタは1973年に富士通テンに資本参加した。デンソーと富士通テンはこれまで事業面ではカーナビの開発などで協力してきた。

新組織で1兆円へ


日刊工業新聞2015年12月28日


 デンソーは予防安全などを含む情報安全分野の売上高を、2020年度までに14年度比約60%増の1兆円に拡大する計画を明らかにした。トヨタ自動車に採用された衝突回避支援システムの拡大などが寄与する。20年の実用化を目指す自動運転については16年1月1日の機構改革で関連メンバーを集約する新組織を立ち上げ技術開発や渉外活動を強化する。

 自動運転の新組織は「ADAS(先進運転支援システム)推進部」。これまで技術開発やインフラ整備などに対する渉外活動は各部で行っていた。新組織に自動運転関連のメンバー約130人を集約し、開発などを加速する。人員は今後、増員する計画で「2、3年で200人規模にしたい」(山中康司副社長)としている。

 トヨタの衝突回避支援パッケージ「トヨタ・セーフティー・センスP」はデンソーがセンサーなどメーンシステムを開発した。新型ハイブリッド車(HV)「プリウス」にも採用された。

 自動運転技術など先進分野の開拓を見据え、トヨタ自動車グループ大手部品メーカーの研究開発費が増加している。2017年3月期にデンソーは研究開発費が初めて4000億円を超える見込みで、アイシン精機やジェイテクトも連続して過去最高額の更新を計画する。

 大手自動車メーカーなどが自動運転技術やADAS(先進運転支援システム)の開発を積極化する中、将来の需要取り込みを目指して研究開発を急ぐ。

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日刊工業新聞電子版2016年9月10日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
ブレーキなどでトヨタグループの再編があっていよいよ自動運転での連携が動き出した。デンソーはトヨタの自動運転技術で欠かせない存在だが、トヨタとデンソーの間でどの程度のコミュニケーションがとれているのか少し不安な部分もある。

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