「下町ボブスレー」オカネじゃ買えないキズナ深まる

プロジェクト推進委員会の2代目委員長に聞く

 昭和製作所の舟久保利和社長は、下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会の2代目委員長。各種部品製造のほか、講演会や各種イベントなど周知活動にも熱心だ。設立から60年以上大田区で経営を続ける会社の3代目に、プロジェクト始動後の大田区について話を聞いた。

 ―大田区では昔から数社が協力して仕事をすることが多いそうですね。プロジェクト始動で何か変わりましたか。
 「プロジェクト参加企業で協力してモノを作る際の、打ち合わせの精度が高くなった。ボブスレーの製造を通じて各企業がどんな素材のものを、どれくらいの時間でどんな形状にできるのかを把握した。いいものがより早く、そして無駄なくできるようになった」

 ―他に本業で役に立っている点は。
 「強い信頼関係を構築したことで、仕事を頼みやすくなった。協力企業は金銭を超えた部分でつながっている。この絆は強い。前のめりな若手経営者との深い付き合いも、いい刺激になっている」

 ―現在も協力企業を募集していますね。
 「理解し合った企業が増えれば増えるほど、できることの幅が広がる。仲間に入って一緒に新しいモノづくりに挑戦してほしい」

 ―今後、ネットワークをどう生かしていきたいですか。
 「大田区全体で人材育成に取り組みたい。町工場の若手社員には同期がいない場合も多い。複数の企業で若手集合研修を実施してカバーしたい。また人材交流によって会社を高め合えればと思っている」

昭和製作所は、引っ張りなどの試験によって工業材料の強度や性質を調べるための試験片を製造している。ハンダのような柔らかいものからインコネルのような固いものまで、材料の性質を変えない繊細な加工を短納期で提供できる。また破壊せずに金属材料を調査する超音波探傷試験片の開発に携わった。多種多様な試験片を作り、さらに複雑形状の切削加工も可能だ。試作部品の加工も手がけている。2013年以降は毎年新卒社員を採用しており、若手社員育成にも力を注ぐ。


日刊工業新聞2016年6月29日

斉藤 陽一

斉藤 陽一
06月30日
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 「顧客の信頼を得るために、どんな難加工でも納期は絶対に厳守する」。今から13年前、私が大田区の支局に在籍していたころに取材した同社の舟久保利明社長(現在は会長)がおっしゃっていた言葉です。その姿勢は今も変わらず、ボブスレーの製作にも生かされているのでしょう。

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