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東急ハンズ、東京・銀座に新業態店オープン―訪日客向け品ぞろえ

 東急ハンズ(東京都新宿区、吉浦勝博社長、03・5155・5311)は、31日に東京・銀座に開業する大型商業施設の東急プラザ銀座内に、新業態店「HANDS EXPO(ハンズエキスポ)=イメージ」を開く。銀座には訪日外国人が多く訪れることなどを想定し、既存店にはない商品や売り場づくりに挑戦する。

 同店は東急プラザ銀座の7階で売り場面積は約1300平方メートル。コンセプトは「カルチャーをつなぎ、カルチャーを育む」。訪日外国人向けのお土産に加え、和を感じさせる商品を販売するほか、キャラクターやアニメのスポット、アート・サイエンスをテーマにした売り場には手作り作品、雑貨などを置く。62席を持つ「カフェスペース」にはステージを常設しイベントや演奏なども行う。

三越銀座店には空港型市中免税店も


 消費税に加え、酒税やたばこ税も免税になる訪日客向け空港型市中免税店の出店が相次いでいる。三越伊勢丹ホールディングス(HD)は空港会社などと共同で、沖縄県以外では初の空港型市中免税店を三越銀座店に開き、4月には福岡三越内にも設ける。ロッテ免税店は3月に銀座で、新関西国際空港は2017年春に大阪・なんばで開業する。“爆買い”の囲い込みが狙いだが、訪日客頼りのビジネスには不安定さも潜む。

 「早く2、3号店を出したい」。大西洋三越伊勢丹HD社長は三越銀座店8階の空港型市中免税店「ジャパンデューティーフリーギンザ」開店にあたり、空港型市中免税店を新宿や地方都市でも展開する考えを示した。14年8月の合同出資会社設立時に100億円としていた初年度売上高目標を150億円に上方修正するなど意欲的だ。ただ、ジャパンデューティーフリーギンザの開業時期は予定の15年秋から遅れ、「開業日が直前に決まったため、訴求が足りていない」(三越伊勢丹HD広報)という。

 日本百貨店協会の調べでは、15年の免税売上高は前年比2・6倍と急増した。百貨店業界の既存店売上高が同0・2%減だったことを考えても、訪日客向け市場は魅力的であり、空港型市中免税店設置を検討する動きは他社にも広がっている。

 一方で外国人が押し寄せる店舗では、日本人客が買いづらくなる状況も起きている。消費増税などで国内消費者の負担感が増す中、繁華街の店舗の一角を占有して外国人が”免税“で安く買い物できる売り場づくりを進めることに抵抗感が広がらないともいえない。

 ジャパンデューティーフリーギンザが扱う化粧品や宝飾品には、同店の他フロアや周辺の路面店で展開しているブランドもある。三越銀座店では空港型市中免税店の開業後、他フロアの売り上げも増えたとしているが、長期的に見ると顧客を奪い合うリスクは高い。

 海外への資金流出を懸念する中国政府の方針や、円高の進行が爆買いに影響を及ぼす可能性もある。

 銀聯(れん)カードでの外貨引き出し制限や株安については、現時点では「影響はない」と強気な見方をする百貨店関係者が多いが、訪日外国人、中でも中国人観光客をピンポイントで狙う戦略は危うさもはらむ。
(文=江上佑美子)
日刊工業新聞2016年3月23日 建設・エネルギー・生活2面/2016年2月18日 建設・エネルギー・生活2面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
ここ最近、銀座はさまざまな国の方で溢れています。「外国人観光客向け」の店でも、日本の違った面や面白い切り口で商品が置いてあり日本人でも楽しめます。

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