ロボットスーツ、ヘビ型ロボ…大学発ロボティクス研究が集合

科学技術振興機構(JST)の展示会「ロボティクス×フューチャー2016」

 科学技術振興機構(JST)は大学発ロボティクス研究の展示会「ロボティクス×フューチャー2016」を開いた。コミュニケーションロボや送電線点検ロボなど、学生18チームがロボットについてプレゼンし、ベンチャーキャピタルやメーカー新事業部門などと事業可能性について意見交換した。

 法政大学の小林稔彦さんらは介護現場などで腰の負担を軽減するロボットスーツを開発。背中に配した人工筋肉が高齢者を抱え上げる際にアシストしてくれる。30キログラムの重りを持ち上げる場合、負荷を26%抑えられた。小林さんは「製造原価を10万円程度に抑え普及させたい」と意気込む。
 課題は運用性だ。人工筋肉は圧縮空気で伸縮させるが、現在のガスボンベでは3-4回でエアーが切れしてしまう。倉庫での荷崩しなど、繰り返し作業が多い場面には不向きだ。「介護現場では連続作業は少ない。一度作業が済んだらボンベを交換するなどうまい運用方法を提案していく」という。研究室を出てユーザーとの折衝が必要な段階だ。

 東京工業大学の清川春矢さんらは電動車いす用のタイヤ洗浄機を開発した。車イスの駆動力を利用して、前輪と後輪の両方を拭き掃除する。洗浄機自体は電力が要らないため、駅ビルや公共ホールなどで係員が持ち運んで運用できる。一般家庭でも置いておけるよう、折り畳み式でコンパクトに設計した。介護機器メーカーなどへの技術移転を狙う。

 東京理科大の増渕勝也さんらは水撃ポンプで水力発電の発電量を倍増させた。川や農業用水路などのマイクロ発電に提案する。水撃ポンプは流れてくる水を一度圧縮管にためてから放出する。増渕さんは「水を拍動させ効率的に発電機を回せる。幅広い企業からオファーを受けている。電力小売りや装置販売、保守サービスなど幅広い事業形態を考えていきたい」と、大きな収穫があったようだ。

 「早速、共同研究や事業化を相談したいという企業が見つかった」と目を細めるのは、立命館大学の加古川篤助教。ヘビ型ロボを開発する。用途は空調システムのダクト清掃やインフラの配管点検だ。加古川助教のヘビ型ロボはW字型で、管径が変わる配管の中でも進むことができる。
 その場で旋回する機構を搭載し、ロボットが配管の曲がり方向を測定して自動で向きを修正する。「蛇腹管などグニャグニャと曲がる管でも、操縦者は前進後進を指示するだけですむ」という。蛇腹管は施工しやすく、ビルや住宅の空調に使われていて数が多い。「3年で事業化にめどを付けたい」という。

 まだ原始的な試作ロボットをプレゼンするチームや、事業化を見据えてロボットをシンプルな装置に落とし込んだチームなど成熟度はまちまちだ。研究の早い段階からユーザーや企業とコミュニケーションできているため実用化は早いだろう。
(文=小寺 貴之)

ニュースイッチオリジナル

昆 梓紗

昆 梓紗
03月22日
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展示のほかに、ピッチスタイルでのプレゼンテーションやドローンの模擬飛行なども行われました。参加したチームはそれぞれ、「一日でたくさんの声掛けがあった」と手ごたえを感じていました。

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