東芝「家電売却」断念の可能性も。海外企業と雇用で交渉難航か

「どこにも売却しない可能性があり得る」(東芝幹部)

 東芝の白物家電事業の構造改革が暗礁に乗り上げている。シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下で経営再建することが決定的となり、家電の事業統合案が白紙になったからだ。現在、中国やトルコなど海外家電メーカーと売却交渉を進めているが、条件が折り合わず交渉は難航しているようだ。家電事業の売却を断念する可能性も出てきた。

 「海外メーカーとの売却交渉は難航している」―。東芝幹部は家電事業のリストラが、思うように進んでいない現状を明かす。2月、室町正志社長は家電事業について「2月末までに、何かしらの方向性を示したい」と意欲をみせていたが、実現できないまま3月に入った。

 これまで東芝は家電事業について、従業員の人員削減や中国家電メーカーのスカイワースに洗濯機を生産するインドネシア工場を売却する構造改革案を公表。さらにシャープと家電事業を統合する方向で調整を進めていた。だが、2月に入り状況が一変。シャープが鴻海の傘下に入ることがほぼ確定し、シャープとの事業統合計画が頓挫した。

 振り出しに戻った東芝が次に模索するのが、海外メーカーへの事業売却だ。売却先としてスカイワースやトルコの大手家電メーカーなどの名前が挙がっている。東芝幹部は「事業すべてを売却することにこだわっていない」と説明するが、従業員の雇用維持などの条件で折り合いがついていないようだ。

 家電事業は売却額が7000億円以上にのぼると言われるヘルスケア事業とは異なり、高い価格で売却できる事業とは言いがたい。売却額の多寡が最優先となっていないだけに、交渉が進まない現状は深刻だ。東芝にとっては追加のリストラ費用発生を避けたいのが本音で「家電事業をどこにも売却しない可能性があり得る」(幹部)という。

 東芝は電力・社会インフラと半導体事業を、収益けん引の2本柱に置いて「2016年度からのV字回復を目指す」(室町社長)としている。3月末までに非中核事業である家電事業の方向性を、明確に示すことが復活に向けて必要不可欠だ。
(文=下氏香菜子)

日刊工業新聞2016年3月2日 電機・電子部品
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明 豊

明 豊
03月02日
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東芝のコンシューマ子会社は実質債務超過とみられる。相当なリストラ費をつけて売れるかどうか。でも家電事業の方向性が決まらない限り3月末に発表を予定している中期計画も出せない。日立のように、国内の白物など一部商品だけに相当事業をしぼって継続させるかどうか。

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