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《中堅電子部品メーカーの生きる道#02》サンケン電気&ニチコン

《中堅電子部品メーカーの生きる道#02》サンケン電気&ニチコン

ニチコンの吉田社長(左)とサンケン電気の和田社長

**サンケン電気・和田節社長
 ―車載用パワー半導体事業の重点戦略は。
 「海外メーカーとの取引拡大に向けた施策を継続する。直販体制をこれまで以上に強化したり、顧客の拠点近くに技術営業職(FAE)を配置し訪問頻度や提案力を向上させる取り組みを強化する」

 ―具体的には。
 「まずは有力な自動車メーカーが集積する欧州エリアを攻める。米子会社のアレグロマイクロシステムズが持つドイツの営業拠点にFAEを常駐させる計画で現地採用も検討する。アレグロとの連携を強め製品を相互販売するなどし、採用に結びつけたい」

 ―2016年度の設備投資計画は。
 「車載用センサーICを手がけるタイ工場を新設するなど、しばらく大型投資が続いた。減価償却費の範囲内に収める」

 ―パワー半導体需要をけん引するモノのインターネット(IoT)はどう攻めますか。
 「4月にIoT向け電源IC開発を専門に行う部隊を発足する予定。省電力化や複数の機能をワンパッケージにまとめ、設計効率向上に役立つ製品などを手がける。専門部隊を作ることで、より迅速な提案が可能になる」

 ―補完すべき技術はありますか。
 「車がネットにつながる時代が現実味を帯びてきており、通信やソフトウエアの技術を強化すべきだと考えている。外部機関との連携も選択肢の一つだが、人材教育や子会社のリソースも活用して対応してきたい」

【記者の目・欧米戦略アレグロと連携】
 車載用は日系メーカーとの取引量が多く、海外メーカーへの拡販が中長期の安定成長に欠かせない。和田社長は15年の就任直後から強化策を打ち出し、今年に入って海外メーカーの受注を獲得するなど成果が出始めている。海外で知名度の高いアレグロとの連携が進めば、欧米メーカーを攻略するのは難しくない。
(聞き手=下氏香菜子)

ニチコン・吉田茂雄社長


 ―中国経済の減速など電子部品需要の鈍化が懸念されますが。
 「足元は厳しいが、成長が止まったわけではない。むしろシェアをどう上げていくかが重要。大きな流れで見れば環境技術や自動車電装化など、自力で拡大できる領域もある。目先の需要に一喜一憂するのではなく、しっかりと先を見定めて市場に提案していく」

 ―コンデンサーで期待する市場は。
 「パワーエレクトロニクス分野が拡大している。市場全体が爆発的に伸びるわけではないが、拡大する市場を獲得するために、高容量の箔(はく)の開発や量産投資、海外工場の自動化など、やるべきことはしっかりやっていく」
「電気二重層コンデンサーではウエアラブル機器に向けて細長いペンシルタイプを開発した。まずスタイラスペンに採用された。二次電池とコンデンサーの中間の特性を持つ。どれだけ容量を増やしてくことができるかが今後の普及のカギだ」

 ―回路製品や応用機器をNECST事業として成長分野に位置づけています。
 「足元では売上高の3割を超えてきた。中でも家庭用蓄電池の販売は前年度比1・5倍と好調。電気自動車用急速充電池も数が出ている。この勢いを続けていきたい。新しく立ち上がりそうなのが医療用電源。これまで粒子線治療器のメーン電源を手がけていたが、システム周辺の電源でも実績が出ている。とにかく魅力ある商品作りをしていかないと」

【記者の目・家庭用蓄電池など柱に】
 家庭用蓄電池などNECST事業を売上高の半分まで伸ばし、コンデンサーと並ぶ2本柱とすることが当面の目標。1970年代から強磁場の電源開発を手がけ、技術力には定評がある。大きな変化が予想される環境エネルギー市場で存在感を示せるかどうかは、マーケティング能力にもかかってきそうだ。
(聞き手=尾本憲由)
日刊工業新聞2016年2月25日 電機・電子部品面
尾本憲由
尾本憲由 Omoto Noriyoshi 大阪支社編集局経済部
両社ともパワーエレクトロニクスに強く、車載ビジネスでも実績を積んできた。ただ電子部品のトップ企業と比べてしまうと、収益力、成長力とも見劣りがするのも事実。潜在力があるだけに、できるだけ早く成長路線を軌道に乗せたいところ。

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